2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560594
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小松 幸夫 Waseda University, 理工学術院, 教授 (10133092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 洋樹 九州共立大学, 工学部, 准教授 (00329088)
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Keywords | 公共施設 / 地方公共団体 / 施設マネジメント / 組織構造 / 維持保全 |
Research Abstract |
施設マネジメントは既にいくつかの自治体によって実践され、その必要性についても認識が広まっている。しかしながら業務量の増加や一時的なコスト増への懸念、ノウハウの不足といった理由から、なかなか導入に至らないケースも見受けられる。そこで本年度の研究では自治体における施設マネジメント業務の現状と関連する組織体制についての調査を行った。本調査では施設マネジメントに関連する部門を営繕、財政、管財とし、各自治体の3部門の組織構造及びその役割を調査した。3部門が同局にある場合は、元々分離されていた組織が施設の適切な維持保全や有効活用等を目的として改組された組織体制であり、施設の保全計画策定、維持保全予算承認への技術的なサポート、工事関連情報共有など、部門間のコミュニケーションがとりやすいことが特徴である。これは従来の分散された組織で問題であった点を、「営繕部門による予算の確保」「営繕部門もしくは委託による簡易劣化診断」「施設工事情報の一元化管理」といった取組みによって解決し、施設マネジメントの効率化を図ったものといえる。また、財政と管財が同局、あるいは営繕と管財が同局の場合でも建物点検実施、工事関連情報共有、保全計画策定などといった取組みが見られる。このように施設マネジメント効率化のためには、組織体制の改組や各部門間の壁を越えた全庁的な取り組みが有効である。また某市において、3部門とは別にFM推進班といった統括部門を設けることで、施設の長寿命化、維持管理費用の適正化、配置・総量の適正化といった事項を総合的に判断することを可能とした事例を確認した。この方式は有効であるが、大幅な組織改正を伴い、トップダウンによる取組みと関係者の理解・協力が不可欠と考えられる。
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