2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560594
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小松 幸夫 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10133092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 洋樹 九州共立大学, 工学部, 准教授 (00329088)
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Keywords | 公共施設 / 地方自治体 / 施設マネジメント / 財政状況 / 維持保全 / 長寿命化 / ストック |
Research Abstract |
本研究は、平成20年度より3年間に渡り継続して行ってきたものである。 平成20年度は東京都下の複数市を対象として、コミュニティー施設を対象とした運営維持保全の現況調査、地方公共団体の財政状況調査、市有施設全体のストック量調査を行った。簡易劣化チェックリストを作成し、約50のコミュニティー施設を対象に簡易劣化診断を行い、各施設の維持保全状況を明らかにした。平成21年度は、平成20年度に調査・収集したデータを基に複数の地方自治体の施設運営についての比較分析を行った。調査を通して自治体が抱えるいくつかの課題が明らかになったが、それらを抱える自治体の現状を簡便に把握するため、公開情報を用いた分析手法を開発・提案した。この手法は自治体の財政・施設の老朽化・マネジメント取組状況を総合的に把握できるものである。 平成22年度は、平成21年度からの調査を継続し、各自治体において施設マネジメントが進みにくいことについての問題点を把握するため、組織及び関連業務のプロセスに関する調査及び分析を行った。本調査では施設マネジメントに関連する部門を営繕、財政、管財に分類し、この3部門の組織構造と関連を分析した。従来はこの3部門は別個に機能していたが、施設の長寿命化・適切な維持保全・有効活用等を目的として組織構造が変化していることが分かった。具体的には、施設の保全計画策定、維持保全予算承認への技術的なサポート、工事関連情報共有などの部署間コミュニケーションが取りやすい体制になってきている。また従来の分散化された組織で問題とされてきた部分は、「営繕部門による修繕費等重要工事の予算の確保」、「営繕部門もしくは委託による簡易劣化診断」、「施設工事情報の一元化管理」といった取組みによって、施設マネジメントの効率化が図られている。調査の結論として、施設マネジメント効率化のためには体組織体制の改変、各部門間の壁を越えた全庁的な観点からの取り組みが必要だと言えよう。
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