2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560602
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
泉田 英雄 Toyohashi University of Technology, 工学部, 准教授 (70203057)
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Keywords | 木造建築 / イスラーム建築 / 東南アジア / モスク |
Research Abstract |
本研究の中間年である今年度は、実施計画にもとづいて共同研究者と16世紀から18世紀末に建立された木造モスクの平面、架構、装飾などを比較調査した。取り上げたのは、デマのアゴンモスク、チレボンのアゴンモスク、カリジャガモスク、パンジュナンモスク、カリウラモスク他、グノンジャティ霊廟のパビリオンとモスク他、クラテンのガラ・バヤットモスク、パンダラナンモスク、スラカルタのラゥヤンモスク、王宮内モスク他で、昨年の調査で扇垂木から平行垂木、柿葺きから瓦葺きへと推移することが分かっていたが、今年度の調査で扇垂木のかけ方に新たな知見があった。 すなわち、扇垂木の頂部を桁に栓留めし、さらに下部を周柱の柄穴に差し込み、庇屋根がずり落ちることを防いでいた。モスクの礼拝空間を外界と区別するため、周柱の外側に煉瓦壁を積み、しだいにこの壁に垂木が載るようになっていった。その時、垂木のずり落ちるのを防ぐために鉄のフックが用いたるようになった。 16世紀のイスラーム王国は、それ以前のヒンドゥ時代の建築遺構を再利用した形跡があり、それは花鳥獣などの彫刻から判断できる。少なくともデマモスクの拝殿部分、グノンジャティ霊廟のパビリオン、ジョクジャカルタ王宮のプンドポがそれにあたる。 竹中大工道具館が企画している東南アジアの木造技術と大工道具の展覧会に全面的に協力し、本研究の成果を披露したいと考えている。
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