2009 Fiscal Year Annual Research Report
「限界集落」の再生に関する実践研究~勝山市小原集落における家屋調査と修復を通して
Project/Area Number |
20560607
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
吉田 純一 Fukui University of Technology, 工学部, 教授 (40108212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多米 淑人 福井工業大学, 工学部, 助教 (60511920)
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Keywords | 限界集落 / 小原集落 / 再生 / 活性化 / 家屋修復 / 板張り / 大壁 / ウデギ |
Research Abstract |
本研究は、廃村が迫る勝山市小原集落の再生、活性化を目指す実践研究である。平成21年度は、北山家住宅内部の修復作業を中心に、平成18年度と19年度に遣り残した岩本豊家住宅のウデギ取り付け、岩本了蔵家住宅の内部修復および岩山信子家住宅の実測調査を行なった。作業は8月6日から8月31日まで約25日間で、参加者は吉田・多米に加えて本学建築学専攻の学生11名、これまで同様、大工棟梁中間真佐博氏(東洋建匠)の指導、協力を得た。 北山家住宅の修復は、内部の2階と1階の壁板張りが主で、合わせて行った床の修復では大引きの入れ替えや床束の補填も行った。また、棟通りで2室に分けられていたニワを、後補の間仕切りを取り払って方3間(18畳大)の一室に復し、2階南面にウデキと呼ばれるベランダを復旧した。岩本了蔵家住宅も、内部1階のニワとザシキ回りに板張りを施して整備し、岩本豊家住宅については、2階南面のウデギを再生し、2階内部の妻面にも板を張った。 実測調査を行った岩山信子家住宅は、集落内の通りから少し滝波川に向って下ったところにあり、大正年間の火災でも被災を免れたと伝わる家である。 切妻造、2階建て、外壁が土壁の大壁であること、通し柱が多く用いられている点などは小原の他の家屋と同じ形式であるが、玄関や炊事場・便所などが下屋にならず、主屋部に含まれること、ウデキがつかないこと、上屋梁を側柱が受けず、中柱を立てて受けている構法などが相違点として確認できた。間取りに関しても、奥のザシキとブツマが後の増築で、当初の規模は小さいことが明らかになった。つまり、岩山家住宅の間取り形式や小屋組構法は、大正・昭和期の他の家屋よりも古式であり、小原における家屋の発展過程を探ることができる格好の事例であることを指摘できた。
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