2008 Fiscal Year Annual Research Report
古代アテネのアクロポリスに建設された建築の設計法に関する研究
Project/Area Number |
20560610
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Research Institution | Miyakonojo National College of Technology |
Principal Investigator |
林田 義伸 Miyakonojo National College of Technology, 建築学科, 教授 (00149999)
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Keywords | 古代ギリシア建築 / ヴィトゥルヴィウス / エレクテイオン / 比例関係 / 設計法 / イオニア式オーダー / プロスタイル形式 / クラシック期 |
Research Abstract |
1.ヴィトゥルヴィウスの著書に記載される設計法に係わる記述を全て抽出し、ヴィトゥルヴィウスが示す設計法や比例関係の特徴に付いて分析を試みた。また、著書に記載される人物名や建築等も全て洗い出し、ヴィトゥルヴィウスの設計法に係わる知識の背景について分析した。その結果で最も特筆すべき点は、ドリス式の建造物に関する記述は極めて少ないものの、パルテノン神殿に関する記述が存在しており、ドリス式神殿に関する設計法の背景となっていることが推測できたことである。 2.エレクテイオン神殿の設計法に関する分析は、本体と北ポーチに関しては専攻科特別研究である程度は行っていた。これらの各部寸法のデータと検証と設計法に関する再分析を実施した。また、全く着手していなかった南ポーチに関しては、各部寸法の収集と設計法の分析を実施した。その結果、エレクテイオンを構成する本体、北ポーチ、南ポーチの平面・立面共に、何れも同じと見なせる設計法が採用されていることが判明した。また、北ポーチは設計変更されているが、その理由が、アゴラからの見え方であり、設計変更された過程も、最初と同一の設計法に基づいていることが判明した。更に、エレクテイオン神殿の各部寸法相互の比例関係は、極めてヴィトゥルヴィウスの著書に記載されている内容に類似している点がい多いことも判明した。ただ、分析が未だ十分とは言えない点もあり、平成20年度は学会発表などは避けた。 3.パルテノンやアテナ・ニケ神殿に関してはそれそれの報告書の復刻版や報告書に関する研究書を、ギリシアの書店から入手することができた。また、バッサエのアポロ神殿にしては、日本における他の研究機関が所蔵している報告書のコピーを入手することができた。
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