2010 Fiscal Year Annual Research Report
高周波共鳴を利用した高速記録磁気メモリーのためのスピンダイナミクスの研究
Project/Area Number |
20560611
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
稲葉 信幸 山形大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50396587)
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Keywords | ダンピング定数 / 強磁性共鳴法 / 磁化反転速度 / 磁気記録 / 単結晶薄膜 |
Research Abstract |
提案した研究目的を実現するために、本年度は下記の2項目を実施した。 1.強磁性共鳴(FMR)装置を用いた磁気緩和現象の計測 強磁陸体の磁化反転速度を支配するダンピング定数αは、強磁性共鳴曲線の吸収ピーク幅から算出可能である。このピーク幅から得られるαには、材料固有の値と試料の磁性膜間に作用する相互作用、試料の膜構造と関係した歪み、などの外的要因に起因した値が含まれている。(1)hcp,fcc,,bcc構造のCo単結晶薄膜のαを比較すると、fcc-Coのαは結晶方向によらず一定値をとり、Niやパーマロイと同様の結果を示した。hcp-Coでは磁化容易軸であるc軸方向でαが最小値(α=0.02)を、磁化困難軸方向で最大値をとり、また、bcc-Coのαは<100>方向で最小となり、結晶方向に依存した周期的変化を示すことが判った。また、bcc結晶構造のFe-Co合金単結晶薄膜でも同様にαが結晶方向に依存して周期的変化を示した。(2)強磁性層間の磁化が反平行に結合するCo-Fe/Ru/Co-Fe(or Ni-Fe)三層構造膜では、FMR曲線の吸収ピーク幅は各磁性層の吸収ピーク幅となり、Co/Ru人工格子膜で測定されたような結合状態に依存して吸収ピーク幅が変化するような現象は観察されなかった。これは、磁性層間に作用する結合力がCo/Ru試料の場合に比べて小さいことが原因と考えられる。(3)Co-Pt合金ではCr添加量の増加とともにαが増大した。 2.試料作成 上記に用いる試料を準備するため、RFマグネトロンスパッタリング装置を用いて単結晶薄膜を形成する条件の検討を行った。MgO基板を300℃以上で事前加熱を行い、成膜時のArガスのプロセスガス圧が0.8Pa以下、成膜速度0.1nm/s以下で成膜すると、MgO単結晶基板上にFe-Co,Ni-Feなどの磁性膜がヘテロエピタキシャル成長し単結晶薄膜が形成されることがわかった。
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Research Products
(17 results)