2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560613
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
武田 雅敏 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (30293252)
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Keywords | 金属六ホウ化物 / 熱電変換材料 / 格子欠陥 / キャリア濃度 / 電気伝導率 / ゼーベック係数 / 結晶構造解析 / 焼結体 |
Research Abstract |
二価の金属六ホウ化物における格子欠陥,特に原子の欠損が物性に与える影響を明らかにするために,次の2点を中心に研究を行い,以下の成果を得た. ・焼結後の熱処理による電気的特性の変化 YbB6はp-n制御が可能であり,その原因はYbまたはBの欠損にあると予想している.そこで,p型,n型の焼結体に1800℃の熱処理を施して特性の変化を調べることで,どちらの元素の欠損が支配的かを考察した.p型の試料は4回熱処理を施しても極性は変化せずp型のままであった.それに対してn型の試料では,熱処理によってp型に変化し,組成分析の結果では熱処理によってYb濃度が減少していることが明らかになった.高温での処理により蒸気圧の高いYbが減少し,電子の供給源であるYbが減ったことにより,p型へ極性が変化したものと考えられる.この結果は,YbB6の極性を後天的に変化できることを意味しており,n型材料の一部を加熱するなどしてp型に変化させることも可能になると期待される ・中性子回折による結晶構造解析 原子の欠損を調べるために,通常,X線回折が用いられるが,ホウ素が軽元素であるため解析が困難である.そこで,中性子回折による結晶構造解析を行った.試料としては作製条件によってキャリア濃度が変化している複数のSrB6(n型)を用いた.その結果,BとSrのサイト占有率の比Occ(B)/Occ(Sr)の減少に伴って格子定数が減少し,キャリア濃度が増加していることが明らかになった.これは,ホウ素が減少することで,電子キャリアを供給するストロンチウムが相対的に多くなったためと考えられる. これらの研究により,金属六ホウ化物の原子の欠損はキャリアの種類,濃度に大きく影響を与えていることが明らかになった.
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