2010 Fiscal Year Annual Research Report
異方性弾性論の数理解明と格子欠陥のための計算コード作成
Project/Area Number |
20560616
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大澤 一人 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (90253541)
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Keywords | 格子欠陥 / 物性理論 / 金属物性 / 照射損傷 / プラズマ・核融合 / 弾性論 / 第一原理計算 / 水素 |
Research Abstract |
材料として利用されている物質のほとんどが異方性弾性体である。しかしながら、異方性弾性論に基づく解析はその理論の複雑さのために敬遠されてきた傾向がある。本研究では異方性弾性論の数理を解明することと同時に解析に役立つ計算コードの開発を目的としている。格子欠陥の計算に関連してマルチスケールシュミレーションが有効と考えられている。それは、欠陥に近い歪の大きい領域は第一原理計算で処理し、欠陥から遠い領域の計算は弾性論や経験ポテンシャルを用いることで、多くの原子でより正確な計算をしたのと同じ効果を得ようとする計算方法である。本研究は格子欠陥の弾性論的な扱いの研究を目的としているのでマルチスケールシミュレーションは重要な応用の1つである。第一原理計算と弾性論的扱いをする領域のつなぎ目を研究するために、汎用コードによる第一原理計算も始めた。例として空孔とその原子構造の計算をBCC金属(鉄、タングステン)について行った。鉄は最も利用されている金属、タングステンは核融合炉材料として期待されている。単に空孔だけの構造と空孔に水素が詰まった状態の構造を計算した。その結果、BCC金属の空孔には6個程度の水素しか捕獲されないことが定説であったが、タングステン空孔には12個もの水素が捕獲されることがわかった。これは定説を覆す重要な発見であると考える。今後は第一原理計算と異方性弾性論を融合したマルチスケールシミュレーションを行うことでより精度の高い計算結果が得られるように研究を進めてゆきたい。
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Research Products
(8 results)