2010 Fiscal Year Annual Research Report
照射下微細組織変化予測のための点欠陥クラスタ安定性評価
Project/Area Number |
20560622
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
實川 資朗 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究主席 (80354835)
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Keywords | 金属物理 / 格子欠陥 / 電子顕微鏡 / モデル化 / 点欠陥クラスタ / 照射効果 / 微細組織 / マルチスケールモデル |
Research Abstract |
高エネルギー中性子等の照射は、照射生成点欠陥の集合体(クラスタ)形成とその成長による微細組織の変化をもたらし、温度域によってはクラスタの密度が高くなる結果、材料が硬化、脆化等を示す。この微細組織の変化の過程を計算機で予測する能力を向上させれば、多くの資源を要する原子炉での照射実験等を軽減できよう。本提案では、この計算機シミュレーションにおける最重要因子の一つである「点欠陥クラスタが点欠陥/他の点欠陥クラスタを吸収する力(クラスタの状態の影響を含む)」の推定を、イオン照射実験や計算機実験等で明らかにし、予測精度を高めた計算コードの構築を導く。 H22年度は、本課題の最終年度であり取りまとめも進めた。電子顕微鏡による照射下微細組織のその場観察、及びMD法と反応速度論による微細組織変化に関する計算機実験を進め、妥当な計算方法を見いだした。計算機実験では、前年度の成果を発展させ、点欠陥クラスタと点欠陥の相互作用を反応速度論計算に組み込み、従来のモデルでは説明がつきにくかった、照射下でのクラスタの消滅過程のモデル化を進め、微細組織変化の照射量依存性の予測精度を向上させた。その場観察実験では、クラスタ密度の照射速度依存性の評価を進め、クラスタの数密度を決める因子として、移動による合体、空孔の吸収による収縮等を抽出した。当初の目標を概ね達成し、加えて、マルチスケールモデル化を進め、国際会議での発表準備等も進め、平成23年度初旬に発表の予定である。
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