2008 Fiscal Year Annual Research Report
シリコン・チタン窒化物及び酸化物の不定比物性と機能化に関する研究
Project/Area Number |
20560623
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
粕壁 善隆 Tohoku University, 国際交流センター, 教授 (30194749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 彰三 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40171277)
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Keywords | 不定比化合物 / 窒化物 / 機能性材料 / イオン注入 / その場観察 / 透過電子顕微鏡 / 電子エネルギー損失分光 / 分子軌道計算 |
Research Abstract |
レーザービームを照射しながらシリコンおよびチタン薄膜表面を窒素ガス・アンモニアガスにより熱窒化する方法での窒化物薄膜の形成プロセスと比較検討するため、超高真空装置中で作製された膜厚100nmのTi薄膜に窒素イオン(62keVのN_2^+)を注入して、窒化チタン薄膜の形成過程を透過電子回折・顕微鏡法及び電子エネルギー損失分光法等でその場観察し、以下のような形成プロセスについての知見を明らかにした。Tiを蒸着した薄膜にはhcp-Tiの他にTiH_xがhcp-Tiの局所的な原子配列と密接な関係を持って成長していた。TiH_xの窒化ではfcc-Ti副格子の四面体位置の水素が脱離し、fcc-Ti副格子の八面体位置に侵入した窒素がTiと結合してTiN_yが成長した。hcp-Tiの窒化では、hcp-Ti格子の2つの(00・1)面間の局所的な原子配列を引き継ぎながら、隣接する(00・1)面間のTi原子の八面体位置に窒素が侵入することで誘起される原子移動を伴って起こる。すなわち、hcp-Tiの中で広い空隙と相対的に低い電子密度をもつ人面体位置の、注入イオンによる占有を端緒としたTi副格子のhcp-fccエピタキシャル変態は、主に注入原子の2p軌道とチタン原子の3d軌道の混成による強固なπ結合的共有結合の形成と注入原子の存在によるチタン原子間の結合の弱まりによって誘起された、(00・1)面内の<01・0>方向へのせん断変形によって引き起こされることを見出した。これらの結果から、イオン注入過程で起こる侵入原子と母格子との化学結合性の相互作用により母格子の原子配列と密接な関係を保ちながら誘起されるエピタキシャル変態過程を、原子レベルで制御することで、不定比化合物であるチタン窒化物(TiN)を次世代のデバイスに応用する指針を得る事ができるようになると期待される。
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Research Products
(2 results)