2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウム元素含有したアルミニウム高ホウ化物の創製と高硬度材料の探索
Project/Area Number |
20560629
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
岡田 繁 Kokushikan University, 理工学部・理工学科, 教授 (40191952)
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Keywords | ホウ素正二十面体 / NaAlB_<14>単結晶 / Al自己フラックス法 / Na_2B_4O_7 / NaF / 格子定数 / 結晶形態 / ビッカース硬さ |
Research Abstract |
炭化ホウ素B_4Cと立方晶窒化ホウ素CBNは、ホウ素正二十面体を有する高ホウ化物で、ホウ素系半導体や耐熱性の高温度高硬度材料として期待されている。しかし、それらの化合物は特殊な高圧合成法や高温度加熱法で作製するために高価である。この類似化合物は低温度合成が不可能な場合が多いために新たな合成方法が急務とされている。著者はアルカリ金属を含有したアルミニウム高ホウ化物に着目し比較的低温度での結晶合成に成功した。以上から原料の比較的安価で環境に優しい材料であるMgAlB_<14>type(斜方晶系)に的を絞って結晶育成と硬さについて研究を行った。その結果からMgAlB_<14>はB_4CやCBNと同程度の硬さ(24〜28GPa)を有することが分かった。平成20年度は、Mgイオンよりもイオン半径の小さなナトリウムを用いて、Na含有アルミニウム高ホウ化物の単結晶合成と硬さを調べることにした。この化合物は新規化合物である。金属Naは比較的低温で揮発しやすいためにNa含有アルミニウム高ホウ化物は金属NaとAl或いはB元素からの直接方法では合成が不可能である。そこで、Al自己フラックス法を用いて、Na-Al-B三成分系からNaAlB_<14>の結晶合成を行った。その場合、出発原料のNa源をNaCl,Na_2CO_3,NaF,NaI, Na_2B_4O_7などの塩類に代えて、低温度、短時間で合成する方法で行った。実験条件はArガス雰囲気中、加熱温度1673K、1〜5h保持、冷却速度50K/hで、NaF或いはNa_2B_4O_7を用いた場合にNaAlB_<14>単結晶の合成が可能であった。2種類の原料から得られた結晶の大きさと色調或いは形態は、7mm程度、赤みかかった黒色の金属的光沢、{100},{010},{011}と{001}面を有する台形状である。格子定数値(a=1.046nm,b=0.584nm,c=0.823nm)と化学分析の結果から他の元素を含まないNaAlB_<14>結晶であることも分かった。ビッカース硬さは生成面の比較的大きい{010}面について調べた。この結果から、硬さは、NaAlB_<14>では28GPa、MgAlB_<14>では26GPaで、NaAlB_<14>の方がやや高い値であった。
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