2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウム元素含有したアルミニウム高ホウ化物の創製と高硬度材料の探索
Project/Area Number |
20560629
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
岡田 繁 Kokushikan University, 理工学部, 教授 (40191952)
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Keywords | Alセルフフラックス法 / Na_xMg_<1-x>AlB_<14>(x=0-1.0)結晶 / Na_2B_4O_7 / 金属Mg / 格子定数値 / 台形の棒状結晶 / 組成比変化 / ビッカース微小硬さ |
Research Abstract |
1、Na-Al-B三成分系では、金属ナトリウムを含有する三成分系化合物は知られていなかったが、著者らは新規Na含有アルミニウム高ホウ化物NaAlB_<14>(斜方晶系、Imma)の単結晶合成に成功し、結晶構造と若干の性質について報告した。この化合物は、MgAlB_<14>タイプで、B_<4>CやCBNと同様に高強度材料であることが、先の報告から明らかにすることができた。本報告では、NaAlB_<14>結晶よりもより高強度材料を作製するために固溶体高ホウ化物Na_xMg_<1-x>AlB_<14>(x=0-1.0)結晶の合成を試みた。Alセルフフラックス法を用いて、Na,Mgとホウ素からNa_xMg_<1-x>AlB_<14>(x=0-1.0)結晶の合成を行った。また、得られたNa_xMg_<1-x>AlB_<14>結晶は硬さを調べた。その結果からNa_xMg_<1-x>AlB_<14>の組成比変化が硬さにどのような影響を与えるかを検討した。 2、出発原料は、金属マグネシウム、Na_2B_4O_7、結晶化ホウ素を用いた。金属フラックスとしてチップ状の金属アルミニウムを用いた。Na_xMg_<1-x>AlB_<14>(x=0-1.0)結晶を合成するためにNa源としてNa_2B_4O_7を用いた。原料は所定の配合比Na_xMg_<1-x>AlB_<14>(x=0-1.0)になるように調製した。これをA_2O_3ルツボに充填してArガス雰囲気中の電気炉内に挿入した。加熱温度は1573Kで、1時間保持した後、50K/hの徐冷速度で結晶合成を行った。得られた結晶は酸処理して取出した。Na_xMg_<1-x>AlB_<14>結晶は、XRDで結晶相の同定と格子定数値を測定し、ICP、EDSとSEMで化学分析、組成比変化とビッカース微小硬さの関係を調べた。 3、得られたNa_xMg_<1-x>AlB_<14>(x=0-1.0)結晶は、台形の棒状で、Na含有量が多いときには赤黒い色を呈するが、Mg含有量が多いときには黒色である。格子定数はa=0.585nm,b=0.811nm,c=1.033nm(MgAlB_<14>)~a=0.584nm,b=0.823nm,c=1.047nm(NaAlB_<14>)の範囲内である。これから格子定数は、aの値ではほとんど変化が見られないが、bとcの値ではNa含有量が多いと大きな値になる。これはMgイオンよりもNaイオンのイオン半径が大きいことに起因している。また、Na_xMg_<1-x>AlB_<14>(x=0-1.0)結晶の硬さは、27.3~30.6GPaの値で、固溶体高ホウ化物の方が、MgAlB_<14>或いはNaAlB_<14>の単一結晶よりも高い値であることが理解できた。
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