2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウム元素含有したアルミニウム高ホウ化物の創製と高硬度材料の探索
Project/Area Number |
20560629
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
岡田 繁 国士舘大学, 理工学部・理工学科, 教授 (40191952)
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Keywords | Na_xLE_<1-x>AlB_<14(LE=Li, Mg,希土類金属) / Alセルフフラックス法 / LE_2B_4O_7(LE=Li, Na) / 希土類酸化物 / 金属Mg / 格子定数 / 組成比変化 / ビッカース微小硬さ |
Research Abstract |
1) NaAlB_<14>結晶は、高硬度材として有望視されているが、これよりも高い硬度材を目指す目的で、平成22年度では固溶体Na_xLE_<1-x>AlB_<14>(LE=金属元素)結晶の合成と硬さの関係について報告する。NaAlB_<14>化合物のNaの位置を他の金属元素に置き換えて、固溶体Na_xLE<1-x>AlB_<14>(LE=金属元素)を作製し、組成比と硬さとの関係を調べることである。平成21年度では固溶体Na_x.Mg_<1-x>AlB_<14>結晶を合成し、硬さを調べた。その結果、ビッカース微小硬さはNa_xMg_<1-x>AlB_<14>結晶では27.3~30.6GPaの比較的高い値を有していた。これはNaAlB_<14>(28GPa)とMgAlB_<14>(26GPa)のそれぞれの単一の高ホウ化物よりNa_xMg_<1-x>AlB_<14>の方がやや高い硬さである。平成21年度ではNa_xMg_<1-x>AlB_<14>の組成比と硬さの関係は明らかにしていない、また、他の金属元素との固溶も調べていない。平成22年度では、NaAlB_<14>のNa位置を他の金属に変えて固溶体化合物の合成を行う。本実験ではNaと比較的近い元素のLi, Mgおよび希土類金属を用いて、Na_xLE_<1-x>AlB_<14>(LE=Li, Mg, Y~Lu)の固溶関係を調べることである。得られた固溶体高ホウ化物の固溶限界と硬さの関係を明らかにする。 2) 固溶体高ホウ化物の作製方法として、出発原料は、Na_2B_4O_7, Li_2B_4O_7,金属Mgおよび希土類酸化物と結晶性ホウ素を使用した。Na_xLE_<1-x>AlB_<14>(LE=Li, Mg, Y~Lu)の結晶合成はAlセルフフラックス法を用いた。加熱温度は1573~1773K、保持時間1~3h、徐冷速度は50K/hで結晶育成を行なった。 3) NaAlB_<14>でのNaの位置をLi或いは希土類元素で置き換えて、合成実験を行ったが固溶体化合物は合成することができなかった。この原因は、NaとLi或いは希土類元素との原子半径の大きさがNaよりも大きいか或いは小さすぎたためであるか、または高温度でAl融液中において金属間同士の反応が起こらなかったためと考えられる。しかし、平成21年度で報告したように、Na_xMg_<1-x>AlB_<14>結晶が得られたが、組成比の変化とビッカース微小硬さとの関係は報告していない。それを明らかにするために次の実験を行った。即ち、EDSの組成分析では、Na_xRE_<1-x>AlB_<14>結晶は0.21≦x≦0.08の範囲内で存在することが判った。Na_xRE_<1-x>AlB_<14>の格子定数は、Na_<0.06>Mg_<99.4>AlB_<14>ではα=0.584(2), b=0.811(2), c=1.033(3)nmからNa_<0.21>Mg_<0.79>AlB_<14>ではα=0.585(2), b=0,812(3), c=1.034(2)nmの範囲内である。これと硬さの関係は、Na_xRE_<1-x>AlB_<14>(0.21≦x≦0.08)での硬さは31.1(0,8)~33.4(0.9)GPaで、Na_<0.21>Mg_<0.79>AlB_<14>(33.4(0.9)GPa)の方がNa_<0.08>Mg_<0.92>AlB_<14>(31.1(0.8)GPa)よりも高い値であった。この原軍はNaAlB_<14>やMgAlB_<14>よりも固溶体ホウ化物の方がホウ素原子の原子間距離が短くなるためか或いは結晶にひずみを与えるためではないかと推察している。
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