2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560647
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
三浦 博己 The University of Electro-Communications, 電気通信学部, 准教授 (30219589)
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Keywords | 超微細粒 / 多軸鍛造 / 変形双晶 / 銅合金 / SUS316ステンレス鋼 / マグネシウム合金 |
Research Abstract |
面心立方金属であるCu-Zn合金やSUS316ステンレス鋼に対して多軸鍛造(MDF)を行い、変形抵抗の変化や超微細粒組織発達を調査した。Cu-Zn合金は積層欠陥エネルギーが非常に低く、加工中の変形双晶の発達が起こりやすかった。実際、室温以下(77K)でMDFを行うことで高密度・均一な変形双晶の発達およびそれによる結晶粒の分断により、結晶粒超微細化が著しく進行した。特に、高ひずみ域では内部に変形双晶を高密度に有する超微細パケット状組織が均一に発達した。最終的に結晶粒径を約20nmまで微細化することに成功した。これは、従来の強ひずみ加工法で得られた結晶粒径の下限200nm前後の約1/10であった。強度は結晶粒微細化にともない顕著に上昇し、変形双晶が強度上昇に寄与することが明らかとなった。SUS316でもほぼ同様の結果が得られた。この結果、Cu-Zn合金、SUS316ではそれぞれ0.9GPaと2.2GPaの強度が達成された。さらなる強度上昇を狙い、析出強化されたCu-Zn合金に対して同様の研究を行った。しかし、析出物が加工性を損ない割れを引き起こし、巨大ひずみ付与が困難であった。その結果、先述のCu-Znよりもやや低い強度・延性しか得ることが出来なかった。さらに、同様な実験をMg合金に対しても行った。Mg合金では変形双晶は上述の面心立方金属ほど緻密には導入できなかったが、平均結晶粒径は1μm以下が容易に達成され、強度・延性のバランスに優れた物性が得られた。ただし、温間域での加工が必要であったため、結果的に最小粒径はやや大きなものとなってしまった。
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