2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560655
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
戸高 孝 Oita University, 工学部, 准教授 (50163994)
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Keywords | 磁気形状記憶合金 / 強磁性体 / 低キュリー点材料 / 形状記憶効果 / 磁気透磁率 / 鉄系合金 / 多機能材料 |
Research Abstract |
強磁性的性質と形状記憶特性の両方が共に優れた特性となる条件を見出すため、Fe-Mn-Cr-Si-Y-Bリボンにおいて成分比を検討し、併せて大気雰囲気とAr雰囲気で作製したリボンを比較した。大気雰囲気で作製した(Fe_<1-x>-Cr_x)_<67.3>-Mn_<26>-Si_6-Y_<0.5>-B_<0.2>リボンにおいて、Crの含有量が減少するに伴い、磁気特性は向上する傾向が得られた。また、オーステナイト変態終了温度Afよりキュリー温度Tcが高温であり、形状記憶合金として動作しても磁性は失われない事が確認された。しかし、本試料は非常に脆く形状回復率の正確な評価が出来ていない。Ar雰囲気で作製したリボンにおいて、リボン試料作製段階では、磁化は非常に低く、形状記憶効果SME=100%という従来の非磁性の形状記憶合金と同様の特性となった。大気中熱処理により表面酸化鉄層を形成させて磁気特性を向上できるが、作製雰囲気の違いに対する材料特性の差異の原因は今後も検討していく。 Fe-Ni系合金での多機能材料の開発としては、Fe-Ni-Al合金、Fe-Ni-Si合金、Fe-Ni-C-Al合金の成分比をそれぞれ調整し、形状記憶合金の強磁性化を検討した。真空中液体急冷法では、Alの添加量が7wt%以上で飽和磁化Msが100emu/gを上回る値が得られた。また、7-8wt%AlにおいてSMEが約50%の値が得られたが、加工性が低く、完全な形状回復には至らなかった。Fe-Ni-Si合金では、Siの添加量を増加することでMsも増加する傾向が見られ、10wt%Siで100emu/gの値が得られたが、SMEは8-9wt%Siでしか発現しておらず、50%以下であった。Niの減少によりSME値を保ったままMsの増加が確認できたが、それほど大幅な増加は得られていない。Fe-Ni-C-Al合金では、Cの添加量が増加することでMs, SME共に増加する傾向が見られ、0.8wt%Cの試料でMsが96emu/g、SMEが44%の値が得られた。Msはある程度大きな値が得られたが、キュリー温度が低くSMEは完全な形状回復に至らなかった。今後更に詳細な検討を行っていく。 また、冷媒に焼入れ油を使用したワイヤーの作成を検討したが、特性の特段の向上は得られていない。
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Research Products
(13 results)