Research Abstract |
年度当初の予定にしたがい,合金元素を添加したNi_3(Si, Ti)金属問化合物の組織機械的性質,触媒特性評価を行った.(1)Hf, Ta, Wの3種の高融点元素をTiと置換する方法で2at.%添加すると,Hf, W添加合金ではともに2相組織となるが,Hf添加の場合はL1_2マトリックス中にNi-Hf系化合物相が分散するのに対し,w添加合金ではNi固溶体相が分散した2相組織となった.一方,Ta添加材ではL1_2単相組織が維持されていた.硬さ測定の結果,Hf添加合金では主として分散強化によって,また,Ta合金では固溶強化によって硬さが増加していた.これら3種の合金に対して,繰り返し温間圧延-焼鈍プロセスならびに冷間圧延プロセスを適用した結果,W添加合金では強冷間圧延薄板の作製が可能であったが,HfおよびTa添加合金では圧延中に割れが生じ,薄板の作製は困難であった.(2)Ni_3(Si, Ti)の耐酸化性向上に有効なAlを添加した合金の作製においては,4at.%Alの添加方法を変化させることで,L1_2単相組織と,L1_2マトリックス中にNi固溶体相が分散した2相組織の2種類の合金を得た。両合金とも強冷間圧延薄板の作製は可能であり,また,室温強度は両合金で差異は無かったが,高温強度特性はL1_2単相組織合金の方が良好であった.(3)上記で作製した2種類のAl添加合金について,メタノール分解反応に対する触媒活性変化を調べた.その結果,反応初期の小さな活性ピークを示した後の活性挙動に両合金で違いがみられ,2組織合金では初期の活性ピーク後は低いメタノール転化率しか示さなかったが,L1_2単相組織合金では反応時間の経過とともに再びメタノール転化率が増加し始めた.このことより,Ni_3(Si, Ti)の触媒活性は組織と密接に関連していることが明らかとなった.
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