2008 Fiscal Year Annual Research Report
電子+酸化物イオン混合伝導性を有するSOFCカソードでの反応機構解析
Project/Area Number |
20560659
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
柿沼 克良 University of Yamanashi, 燃料電池ナノ材料研究センター, 准教授 (60312089)
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Keywords | 固体酸化物形燃料電池 / カソード / ペロブスカイト構造 / 電子伝導 |
Research Abstract |
固体酸化物形燃料電池(SOFC)のカソードには(La_<0.6>Sr_<0.4>)MnO_<3-δ>や(La_<1-x>Sr_x)(Co_<0.2>Fe_<0.8>)O_<3-δ>が注目されている。これら既存のカソード材料ではホールと酸化物イオンが主な伝導キャリヤである。これに対し、電子と酸化物イオン伝導性が主な伝導キャリヤとなる材料をカソードへ用いれば、カソード反応に必要な電子が容易に供給され、酸素の吸着性能や電極反応が変化し、カソード性能が向上することが予想される。しかしながら、電子と酸化物イオン伝導が主な伝導キャリヤとなる材料をSOFCのカソードへ応用された例はない。その原因として、カソード環境下(700℃〜1000℃、空気もしくは酸素雰囲気)で電子伝導を示し、固体電解質と反応しない材料が見つかっていないことが挙げられる。しかし、当該年度に本研究では、電子と酸化物イオン伝導性が主な伝導キャリヤとなる(Sr_<1-x>Ce_x)MnO_<3-δ>系に注目し、固体電解質とその材料の間に数μmの中間層を挿入することで、双方の反応を抑制し、SOFCのカソードへ応用が可能であることを明らかにした。また、そのカソード性能についても評価した結果、(Sr_<1-x>Ce_x)MnO_<3-δ>系をカソードとした場合の電流密度が、これまで注目されてきた(La_<0.8>Sr_<0.2>)(Co_<0.2>Fe_<0.8>)O_<3-δ>のそれより3倍高い(0.1Vの過電圧において評価)ことを発見した。また、その系の電気伝導度は既存のカソードのそれとほぼ同じであった。この成果は、電子と酸化物イオン伝導が主な伝導キャリヤとなる酸化物で、既存の材料と同じ電気伝導度を示すものをカソードへ応用すれば、SOFCの過電圧が大幅に低下し、発電効率を飛躍的に向上することを示した点で重要である。
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