2009 Fiscal Year Annual Research Report
電子+酸化物イオン混合伝導性を有するSOFCカソードでの反応機構解析
Project/Area Number |
20560659
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
柿沼 克良 University of Yamanashi, 燃料電池ナノ材料研究センター, 特任准教授 (60312089)
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Keywords | 燃料電池材料 / カソード / 混合伝導性 / SOFC |
Research Abstract |
固体酸化物形燃料電池(SOFC)の低温作動化と出力向上のため、低温で高性能な電極開発を行っている。我々は、従来のカソード材料にはLa_<0.6>Sr_<0.4>Fe_<0.8>Co_<0.2>O_<3-δ>(LSCF)を代表とするホール伝導性材料とは異なるn型伝導性の(Sr_<1-x>Ce_x)MnO_<3-δ>(SCM)に注目し、酸素の吸着性能や電極触媒活性の向上を期待しその性能評価を行った。その結果、昨年までに実用候補材料のLSCFよりSCMカソードの方が高性能であることを明らかにした。当該年度はSCMの熱物性、電極微細構造制御、電極性能の長期試験、電極反応機構の解析を行った。 SCMの熱膨張率を測定したところ、目標とする作動温度(800℃)付近にて11×10^<-6>(K^<-1>)であり、固体電解質であるYSZやSmを置換固溶したCeO_2系とほぼ同じ値を示した。電気伝導度が実用候補材料のLSCFと同等であることからもSCMはSOFCのカソード材料として適していることを確認した。更に、ゼーベック係数測定よりSCMのmajor carrierが電子であることを確認し、電気伝導度がx=0.3で最大になることを明らかにした。またSCMカソードを用いた単セルを作成し、その1000時間の長期試験を行った結果、0.2A/cm^2における過電圧の変化は3%以内と安定した発電を行うことも明らかにした。更にカソードのイオン輸率を向上させるため、SmドープCeO2を混合させたところ、カソード初期性能が向上すると共に、交流インピーダンス法による電極素反応解析の結果から、LSCFに比べSCMでは、表面での吸着酸素の拡散が早く、電荷移動抵抗も小さいことが明らかにした。これは、SCMのn型伝導性が寄与しており、本研究のコンセプトがカソード性能の向上に大きく貢献していることを示した。
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