2010 Fiscal Year Annual Research Report
電子+酸化物イオン混合伝導性を有するSOFCカソードでの反応機構解析
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20560659
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
柿沼 克良 山梨大学, 燃料電池ナノ材料研究センター, 特任准教授 (60312089)
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Keywords | 燃料電池材料 / カソード / 混合伝導性 / SOFC |
Research Abstract |
固体酸化物形燃料電池(SOFC)は高温(1000℃)で作動するため、構成材料の劣化や電極の焼結などの問題がある。そのため、活性の高いカソード材料を開発してより低温(800℃)で作動させることが求められている。カソード性能の向上には酸素の吸着と電荷移動(酸素還元)反応を促進させる必要がある。従来のカソードにはLa_<0.6>Sr_<0.4>Fe_<0.8>Co_<0.2>O_<3-δ>(LSCF)などのホール伝導性酸化物が用いられてきたが、我々は酸素の吸着及び還元反応の促進を期待して、電子が主な伝導キャリヤとなる(Sr_<1-x>Ce_x)MnO_<3±δ>(SCM:組成を明記する時SCM_<-x>とする)をカソードへ応用することを試みた。既に初年度、二年度にSCMの物性を評価すると共にSCMが既存のカソード材料より性能が高いことを明らかにしたことを受けて、本年度は電極内の酸化物イオン伝導パスと三相界面帯を増加させ、カソードの過電圧を更に下げることを目的にSmドープCeO_2(SDC)との混合電極の作製及び評価を行った。その結果、SDCの粒径の増加と共にSDCによるイオン伝導パスが成長し、SDC/SCMの粒径比が1.5以内であればSCMによる電子伝導パスも切断せず、カソード性能が大幅に向上することを明らかにした。また、カソード電極の厚さを増やすことで三相界面帯を広げ、電流密度も向上することも明らかにした。 以上の結果から、SCMは既存のカソード候補材料より性能が高いことを明らかにするだけでなく、三相界面帯の拡大のコンセプトのもと、SCM+SDC混合電極とすることでその性能が更に向上することを明らかにした。
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