2011 Fiscal Year Annual Research Report
ニッケル基合金のクリープ疲労特性に及ぼす金属組織依存性の解明
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20560662
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
早川 正夫 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性評価ユニット, グループリーダー (50354254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 一夫 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性評価ユニット, 主幹研究員 (00354259)
木村 恵 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性評価ユニット, 主任研究員 (20354251)
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Keywords | 高温疲労 / 低サイクル疲労 / クリープ疲労 / アロイ617 / 結晶粒界 / 析出物 / 原子間力顕微鏡 / 透過電子顕微鏡 |
Research Abstract |
主蒸気温度700℃超級の次世代型発電プラント機器の使用環境を念頭において、ボイラー用候補材であるニッケル基合金アロイ617(Ni-22Cr-12Co-9Mo)の700℃における種々の波形(引張ひずみ保持、圧縮ひずみ保持、引張ひずみ・圧縮ひずみ両保持)のクリープ疲労特性に及ぼす金属組織の影響を調べることを目的としている。そのため、溶体化熱処理によって異なる結晶粒径に調整した種々のアロイ617に対して、種々の波形(引張ひずみ保持、圧縮ひずみ保持、引張ひずみ・圧縮ひずみ両保持)のクリープ疲労特性の取得を進めている。 得られた結果では、アロイ617の種々の波形による高温低サイクル疲労寿命に及ぼす結晶粒度の影響は小さいことが判りつつある。また、1000時間程度までのクリープ破断寿命に及ぼす影響も小さいことが判った。当該年度では昨年度に引続き、粗大粒と細粒が層状に分かれて分布している混粒組織を有する受入まま材(1177℃で溶体化処理:平均粒径100μm)を、さらに1220℃で1時間加熱保持し、比較的粒径を揃えた平均粒径200μmの組織を準備した(その間、室温引張強度は40MPa低下、700℃では70MPa低下)。電解研磨面を原子間力顕微鏡で、下部組織を透過電子顕微鏡でそれぞれ観察した。そして両者の観察結果から、析出物分布の定量評価と析出物同定を実施した。その結果、粒界上に粒状・板状のCr_<23>C_6がほぼ全面的に析出しており、一部に02-0.5μmのM_6C(M:Mo,Cr,Co,Ni)が析出していることが判明した。一方、粒内の析出物密度は低く、10-100nm程度の微細なCr_<23>C_6が認められた。 また、三角波ひずみ制御による100万サイクルまでの疲労特性では、受入まま材と1220℃加熱材との間で顕著な差が無いことを明らかにした。引張ひずみ保持(0.1時間保持)台形波による2千サイクルまでのクリープ疲労特性でも、両者に顕著な差はなかった。700℃のアロイ617の三角波による疲労寿命特性は、5万サイクル以上の長寿命域において他の鉄鋼材料より顕著に優れる一方、引張ひずみ保持のクリープ疲労寿命はSUS304などに比べて短かった。 この原因は、アロイ617のクリープ破断延性が著しく低いことによるものと考察された。延性の低いことと、粒界上の析出物が高密度で分布していることが関係していることが判明しつつある。 さらに、クリープ疲労寿命は延性消耗則を用いて精度良く予測されることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に進捗しており、基準となる溶体化熱処理材に対して、三角波と引張ひずみ保持、圧縮ひずみ保持、引張ひずみ・圧縮ひずみ両保持の疲労寿命特性を明らかにすると共に、それぞれの波形による高温疲労損傷材について透過電子顕微鏡観察を実施し、すべりや、セル形成、転位の集積を調べた。さらに、高温疲労損傷プロセスにおける粒界上の析出物偏析の様子を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ニッケル基合金アロイ617の700℃におけるクリープ疲労特性に及ぼす金属組織の影響を解明するために、溶体化熱処理によって異なる結晶粒径に調整した種々のアロイ617に対して、種々の波形(引張ひずみ保持、圧縮ひずみ保持、引張ひずみ・圧縮ひずみ両保持)のクリープ疲労試験を引続き実施する。 クリープ疲労寿命予測法の高度化のために、延性消耗則に加え、ひずみ範囲分割法の適用を検討する。クリープ疲労寿命の低下要因と考察されるクリープ破断延性の低下と粒界析出物密度の関係を明らかにする。そして、粒界析出物密度と結晶粒径の相関性を導くことにより、結晶粒径と引張ひずみ保持台形波クリープ疲労特性の関係を解明する。
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Research Products
(3 results)