2008 Fiscal Year Annual Research Report
ダブルサンプル-スプリットセル法を用いた新規環境劣化割れ試験法の開発
Project/Area Number |
20560666
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
多田 英司 Akita University, 工学資源学部, 准教授 (40302260)
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Keywords | 応力腐食割れ / 水素脆化 / 環境強度 / 電気化学測定 / 環境劣化割れ |
Research Abstract |
本研究では, 応力腐食割れ(SCC), 水素脆性割れ(HE), 腐食疲労(CF)などの環境劣化割れ機構を解明するために, き裂内における腐食損傷量を定量的に評価するダブルサンプルースプリットセル法(DSSC法)を確立することを目的としている. このDSSC法をステンレス鋼の応力腐食割れ, 高張力鋼の水素脆性割れの環境強度評価に適用することで新たな切り口から環境劣化割れ機構の解明を目指す. また, き裂内部の腐食劣化機構について電気化学的等価回路によるシミュレーションを行い, 電位データと合わせてき裂部の溶液環境がき裂部の腐食損傷をどの程度加速するかを検証することにより, 環境劣化割れ機構を解明する. 本年度は, ダブルサンプルースプリットセル(DSSC)法を実現する新規環境劣化割れ試験システムの構築を行った. まず, 電気化学セルは, 2本の試験片を同時に電気化学的制御できるもので, 両側のセルは隔膜を介して分離されたスプリットセル構造とした. さらに, 2本のサンプルのうち1本を万能型試験機に設置するためのジグを機械加工により作製した. 試験片にはステンレス鋼304の丸棒試験片を用い, 種々の濃度に調整した塩化マグネシウム水溶液中で引張試験を行った. このとき, 2本の試験片は電気化学的に短絡した. 両セルの塩化マグネシウム水溶液濃度0.1Mとした. 弾性域においては, 電位が不動態域にあり, 短絡電流も0A付近を正負に振動する電流応答であったが, 塑性変形が開始すると, 電位が卑な方向にシフトし, 電流が引張変形を受けるサンプルから変形を受けないサンプルへと流れる応答を示した. 以上により, 本年度は計画通り, 腐食反応に対する応力の影響を調査できるシステムを構築することができた.
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