2009 Fiscal Year Annual Research Report
ダブルサンプル-スプリットセル法を用いた新規環境劣化割れ試験法の開発
Project/Area Number |
20560666
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
多田 英司 Akita University, 工学資源学部, 准教授 (40302260)
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Keywords | 応力腐食割れ / 水素脆化 / 環境強度 / 電気化学測定 / 環境劣化割れ |
Research Abstract |
本研究では,応力腐食割れ(SCC),水素脆性割れ(HE),腐食疲労(CF)などの環境劣化割れ機構を解明するために,き裂内における腐食損傷量を定量的に評価するダブルサンプル-スプリットセル法(DSSC法)を確立することを目的としている.このDSSC法をステンレス鋼の応力腐食割れ,高張力鋼の水素脆性割れなどの環境強度評価に適用することで新たな切り口から環境劣化割れ機構の解明を目指している. 本年度は,昨年度構築したダブルサンプル-スプリットセル(DSSC)法を用いて濃厚塩化物水溶液中におけるステンレス鋼304の局部腐食挙動に及ぼす応力の影響について調査した.そのため,同一形状の2本のサンプルを同一組成の溶液に浸漬し,片方のサンプルのみ応力を印加して,両サンプル間の短絡電流と電位を測定した.その結果,試験片の変形が弾性変形域にある場合においても,応力印加によってわずかに電位の卑化と短絡電流の増加が観察された.一方,塑性変形域に至る大きな変形が印加されることによって,不働態皮膜の破壊と修復による電位,短絡電流の変化が観察された.しかし,不働態皮膜の破壊と修復の繰り返しから局部腐食の発生に至るには,応力印加の影響に比べて材料因子および環境因子の影響が大きいことが示唆された.また,局部腐食の成長形態に対しては応力の影響があり,応力下ではき裂状の溶解形態を示す場合があることがわかった.以上により,本年度は計画通り,ステンレス鋼の応力腐食割れおよび局部腐食挙動に対する応力の影響を調査することができた.
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