2010 Fiscal Year Annual Research Report
エロージョンコロージョン/FAC機構の解明と材料劣化モデルの提案
Project/Area Number |
20560672
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
礒本 良則 広島大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (40127626)
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Keywords | エロージョンコロージョン / FAC / ボイラー水 / 炭素鋼 / 腐食機構 |
Research Abstract |
本研究の目的は,エロージョンコロージョン/FACがいずれも,流速の高い部位あるいは乱れが生じている部位に生じる複雑な減肉現象であること,減肉の加速が炭素鋼表面に形成される皮膜の機械的な破壊あるいは溶解によって生じることは分かっているが,両者の間で明確な区別が付かない複合現象であると捉え,独特な手法により現場で生じる減肉現象特有の鱗片状模様を再現し,減肉現象の詳細を解明することを目的とする.初年度,次年度において,減肉現象を再現できる装置を組み,部分的に鱗片状模様を再現することができた.しかし,皮膜の性質については充分な検討にまで至らなかった.そこで,この減肉現象が皮膜の機械的性質,多孔性,溶解性が流動条件や環境条件によって異なるためと考え,全く異なる流動条件で減肉を再現するとともに,これらの諸性質を明らかにすることとした. 新たな流動条件を得るための試験装置を組み立てた.バッチ式の静止試験容器内にマグネットを埋め込んだローターを外部のマグネットで回転させる.ローターに取り付けられた試験片が回転することで,高圧容器内溶液に流動を与えることができる.回転数800rpmで試験片の外周の速度は約2.3m/sとなる.用いた材料は汎用炭素鋼SS400と現場で実積のあるSCM3材料である.試験温度は140℃,試験溶液は仕込み時でpH9,溶存酸素10ppb以下のアンモニア調整水である.その結果,試験片の全腐食量,皮膜量に2つの材料の間で差が見られた.回転数の増加によって皮膜量はあまり変わらず,全腐食のみが増加したことから,流動の影響は皮膜を通しての金属地の溶解に現れることが分かった.皮膜の表面観察では,両材料表面に形成される皮膜の性質に違いが見られた.一方,レーザラマン分析では皮膜の成分に違いが見られず,緻密さが異なることによる金属地の溶解の差であることが示唆された.皮膜厚さは1~2μm程度であったため,機械的性質は求められなかった.
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Research Products
(1 results)