2010 Fiscal Year Annual Research Report
単結晶を用いた摩擦撹拌プロセスおける超微細粒形成機構の解明
Project/Area Number |
20560674
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
兼子 佳久 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40283098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 敏 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 名誉教授 (50127122)
VINOGRADOV Alexei 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10283102)
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Keywords | 摩擦 / 超微細結晶粒材料 / 粒界 / 転位 / 銅 / 純鉄 |
Research Abstract |
金属の材料の表面にすべり摩擦を与えると,摩擦面近傍では結晶の微細化が発生する.摩擦によって形成されるこのような微視的組織の形成過程を解明することは摩耗を理解する上で必要である.本研究では報告のない純鉄の摩擦にともなう微細構造の形成を調査した.焼鈍した純度99.99%の純鉄を試料として用い,摩擦試験を行った.試験後切断し,摩擦面直下の組織をEBSD法で分析した.切断面の逆極点図(IPF)マップでは,摩擦面直下部には新たな結晶粒の形成が確認できた.形成される構造は摩擦表面から深さに依存して形態の異なる3つの領域(Domain A~C)に分類できた.Domain A, BおよびCでは,連続的な格子回転,摩擦面に平行な粒界,等軸状微細粒の形成がそれぞれ見られた.格子回転の発生する深さは摩擦面や摩擦方法に依存していた.この回転しやすさに対するすべり系と摩擦面・方向との幾何学的関係を調査した結果,すべり面法線が摩擦方向に平行で,すべり方向が摩擦面法線に平行なすべり系が純鉄の摩擦時の格子回転に強く関与していることが分かった. 複雑な摩擦を受ける金属材料の結晶粒微細化の微視的機構の解明するために,銅単結晶を用いて摩擦方向が180°で交わる摺動摩擦試験を行い,2方向摩擦の影響を調査した.用意した銅単結晶の表面方位は(001)である.摩擦は340往復行った.表面近傍の組織は切断後,EBSD法により解析した.摺動摩擦では表面近傍では一方向摩擦と同様に等軸状の微細粒組織が観察された.しかしながら,摩擦表面から離れた領域では一方向摩擦では見られない表面に対し傾斜した微視的構造が観察できた.また,格子回転は一方向摩擦に比べて明らかに抑えられていた.
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Research Products
(4 results)