2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560697
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
石川 信博 National Institute for Materials Science, ナノ計測センター, 主任研究員 (00370312)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲見 隆 茨城大学, 工学部, 講師 (20091853)
渡邉 義見 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (50231014)
|
Keywords | 酸化鉄 / 鉄欠損 / その場解析 / 析出 / 還元 |
Research Abstract |
本研究は物質内部における反応が引き起こす成分元素の移動過程を透過型電子顕微鏡(TEM)で解析することを可能にしようとするものである。前年までに確立した炭素蒸着を利用した酸化鉄との反応解析法をより精密に、また多くの材料に適用できるようにすることを狙っている。そこで21年度は更に精密に鉄と酸素の組成比をわずかに変えた材料で鉄と炭素の反応性の違いを明らかにすることを試みた。実験に使用したのは鉄と酸素比ががほぼ1:1のウスタイト(FeO)であるが、この物質は他の酸化鉄と異なり、安定ではなく通常鉄がわずかに欠損していることが知られている。そこでこの欠損率を1%程度変化させて炭素との反応性を解析した。その結果、鉄の欠損量が多いほど反応温度が上がることが判明した。具体的には鉄の欠損量が約6%の試料では500℃未満で反応が始まり、7%の試料では600℃付近で反応が始まった。この温度範囲はウスタイトの安定存在領域未満の温度であるため、ウスタイト自身が自己分解した可能性も否定できない。また、鉄欠損は通常空孔の形で存在しているため、鉄が密の方が鉄として析出しやすいとも考えられる。しかし、一方でわずか1%程度の欠損率の変化だけでありこれだけの大きな変化が起こることとの因果関係はさらに詳細に検討する必要がある。また反応はいずれも炭素/鉄界面から析出が起こり炭素側へ進行するという形で起こり温度が高くなるほど析出物の成長は速まった。しかし析出物を分析した結果ほとんど鉄と炭素しか検出されず、析出物は炭素により還元された結果発生したことが確認できた。
|
Research Products
(5 results)