2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560697
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
石川 信博 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノ計測センター, 主任研究員 (00370312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲見 隆 茨城大学, 工学部, 講師 (20091853)
渡辺 義見 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (50231014)
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Keywords | 酸化鉄 / カルシウムフェライト / その場解析 / 還元 |
Research Abstract |
本研究は物質内部における反応が引き起こす成分元素の移動過程を透過型電子顕微鏡(TEM)で解析することを可能にしようとするものである。これまで実際に行ったことはウスタイト(FeO)の炭素による還元過程のその場観察であり、その結果ウスタイトの還元に関して数々の知見を得ることが出来た。22年度は実際の高炉製鉄においても重要な添加剤の一つで、いわゆるカルシウムフェライトを形成するカルシウムの効果をTEM内その場観察で確かめることを目的とした。扱った試料は全てカルシウムが固溶したウスタイトに限定したため最大原子濃度で6%弱までの試料を作製した。 その結果バルク試料での実験結果では酸化鉄還元を促進すると考えられていたものがTEM観察では反応を抑制する傾向が見られた。具体的にはカルシウム濃度が高まるほど、反応開始温度が上昇する傾向が認められた。特に6%含有試料ではカルシウムを含まない試料より200度以上反応温度が上昇した。しかし、一旦反応が起き始めると急速にウスタイトと炭素の界面に析出物の発生、成長が見られ純ウスタイトの場合のように温度によって反応速度を制御することはできなかった。また、界面付近に鉄の析出相ができたのは純ウスタイトと大差なかったがそのすぐ下にカルシウムが濃縮された結晶粒が形成し、鉄だけでなくカルシウムも炭素との界面に向かって動くことが判明した。このカルシウム濃縮相は6%含有試料でのみ形成され、これは高温下で、事実上カルシウムが析出してウスタイトとの新しい複合化合物を形成したことを示している。 さらにこれまでに得られた結果を踏まえ、調査対象範囲を還元だけで無く製鉄後に残るスラグにも広げ、その足がかりとして海洋中の藻場育成に利用され始めた製鋼スラグの構造変化についても解析を行った。具体的にはスラグと浚渫土の混合物に海藻が付着するのに適度な硬度を持つメカニズムを解析し、水の役割をモデル化した。
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Research Products
(6 results)