2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノセンシング技術による食品汚れの固体表面に対する吸脱着過程の解析
Project/Area Number |
20560699
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
萩原 知明 Tokyo University of Marine Science and Technology, 海洋科学部, 助教 (20293095)
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Keywords | 吸着 / 洗浄 / 水晶発振子マイクロバランス法 / QCM / アレルゲン / 食品汚れ / ステンレス / 衛生管理 |
Research Abstract |
平成21年度は前年度に引き続き、食品汚れとして、乳製品製造装置に付着する汚れの主成分である〓-ラクトグロブリンを、また汚れの吸着する固体表面として、食品製造装置の素材として頻用されているステンレス鋼をそれぞれ用い、QCM装置により種々の条件下における水溶液中の汚れの吸着および脱着過程の把握を試みた。その結果、以下の進展を得た。 (1)タンパク質は不可逆的にステンレス鋼に吸着することを確認した。 (2)タンパク質の吸着等温線は見掛け上、可逆的吸着を仮定したLangmuir型の式で近似できることから、タンパク質の吸着の初期段階は可逆的であり、時間経過とともに不可逆的に変化していくことが示唆された。 (3)共存物質(クエン酸、リン酸、HEPES)の種類により、飽和吸着量が大きく変化することを確認した。また、Langmuirプロット解析からもとめられる見掛けの吸着係数と飽和吸着量は相関関係が見られた。このことは、吸着係数の値から、飽和吸着量の大小を予測できる可能性を示していると考えられた。 (4)昨年度製作した水晶振動子に用いたステンレス鋼は一般食品設備・化学設備に広く用いられているSUS304であったが、より高温で運転される食品製造・加工装置(加熱殺菌装置等)で頻用されるステンレス鋼SUS316Lを用いた水晶振動子の試作に成功した。これにより、SUS316LとSUS304の素材の違いの影響を調べることが可能となった。
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