2010 Fiscal Year Annual Research Report
シングルナノ粒子の高効率イオン化によるエアロゾル解析
Project/Area Number |
20560700
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
瀬戸 章文 金沢大学, 自然シスラム学系, 准教授 (40344155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 吉生 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (10152175)
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Keywords | 反応・分離工学 / 環境分析 / 化学工学 / ナノ材料 / エアロゾル |
Research Abstract |
直径が10ナノメートル以下の気中に浮遊するナノ粒子(シングルナノ粒子)の荷電(イオン化)は、その静電気力による分級操作やハンドリング、計測などにおいて重要なプロセスである。従来提案されている荷電装置において、荷電効率(=荷電粒子数/全粒子数)はシングルナノ粒子に対して数%が限界であり、このことがプロセス中のナノ粒子の生産性や制御性を低下させる要因の一つとなっている。そこで本研究では、マイクロプラズマ素子をイオン源として採用した新たな荷電装置を開発するとともに、ナノ粒子の大気中での挙動解析に応用した。最終年度である本年度は、昨年度までに開発した高効率エアロゾル荷電装置を用いて、10nm以下のシングルナノ粒子に対するイオン化効率を種々のパラメータを変えて評価するとともに、イオン化装置内部において生じる、イオンの輸送現象など、動力学的挙動の解析を進めた。特に、イオン発生と荷電粒子の輸送制御のための高電圧波形の最適化を行い、高効率荷電、高スループット荷電が得られる条件を見いだすことに成功した。結果として、直径3nmの粒子に対して約50%、10nmでは80%以上と、極めて高い荷電効率を得ることに成功し、当初の目標値(2nmで10%)をほぼ達成した。さらに印加する電圧の波形を制御することで装置内での粒子損失の低減も可能となり、出口基準の荷電効率(=出口荷電粒子数/全粒子数)においても、3nmで約10%、10nmで約50%と従来報告されている荷電装置を超える高い荷電効率を達成した。これらの結果は化学工学会第76年会にて報告を行った。さらに微小な粒子に対する荷電効率を評価するためのナノ粒子検出器を新規開発し、米国エアロゾル学会誌(Aerosol Sci.Tech)にその論文が受理された。
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