2010 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波援用メカノケミカル処理装置の開発と機能性ナノ粒子創製への利用
Project/Area Number |
20560703
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福井 国博 広島大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (60284163)
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Keywords | マイクロ波 / 粉砕 / ビーズミル / 水熱処理 / チタン酸バリウム / 脱硝 / MOX |
Research Abstract |
マイクロ波援用メカノケミカル処理法を確立するための基礎研究として、硝酸銅および硝酸ニッケル水溶液からの酸化銅、酸化ニッケル粒子の製造を試みた。その結果、中間生成物及び最終製品である酸化物粒子のマイクロ波吸収特性と中間生成物から酸化物への変化する反応温度の関係によって、マイクロ波による脱硝の進行が規定されていることが明らかとなった。また、反応器内の電界・磁界強度分布の数値シミュレーションと熱伝導方程式から発熱量を算出することで、酸化物への転化率を定性的に予測できることを明らかにした。 一方、マイクロ波援用メカノケミカル処理装置として、マイクロ波加熱水熱処理とビーズミル粉砕を同時に行うことができる装置を新規に開発した。本装置を利用して、酸化チタン粒子を水酸化バリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液に懸濁させて、これを水熱処理するという手法でチタン酸バリウム粒子の合成を試みた。その結果、ビーズミル粉砕を用いない場合でも、通常の加熱法による水熱処理でチタン酸バリウム粒子が生成しない常圧,100℃においても、マイクロ波加熱水熱処理ではチタン酸バリウム粒子をある程度合成できることがわかった。しかし、その転化率,収率共に余り高くはなく、生成するチタン酸バリウム粒子の粒径もミクロンオーダーであり、粗大な粒子が得られた。それに対し、マイクロ波加熱水熱処理とビーズミル粉砕を併用した場合、得られたチタン酸バリウム粒子の粒径は数百nmサイズであり、単分散に近い粒径分布となっていた。さらに、その結晶性は非常に高いことがわかった。また、このように粒径が小さく、結晶性の高いチタン酸バリウム粒子は他の手法で合成することは困難であった。
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