2010 Fiscal Year Annual Research Report
低温脱離基を有する高分子膜の低温焼成による高性能CO2分離膜の開発
Project/Area Number |
20560705
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
田中 一宏 山口大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (30188289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多 英敏 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10177826)
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Keywords | 化学工学 / 地球温暖化ガス排出削減 / 反応分離工学 / 高分子構造・物性 / 環境材料 / 芳香族ポリイミド |
Research Abstract |
本研究の目的は、火力発電所や製鉄所、石油化学コンビナートの煙道ガスから、温室効果ガスのCO2を効率的に分離回収するための高性能CO2分離膜の開発である。低温で脱離する成分を芳香族ポリイミド膜に導入し架橋後に焼成してミクロ孔を有する高分子膜を作製し、そのCO2透過分離特性を調べてきた。 昨年度までに、低温脱離基としてメチルピロリドン、ポリオキシエチレン(PEO)を含む、あるいは、アダマンチル基を側鎖に導入した芳香族ポリイミド膜を作製し、これを前駆体として検討した。平成22年度ではPEOを導入した前駆体膜からの焼成膜について詳細に検討した。また、ポリエチレンイミン(PEI)の膜への導入がCO2/N2混合ガスに対する透過分離性能に及ぼす影響を調べた。 PEG400あるいはPEG600を混合したポリイミド溶液からポリイミド膜を作製し、所定の時間、紫外線を照射して架橋膜を作製した。この膜を前駆体として窒素中、350℃で焼成して膜を得た。PEG400を導入して光架橋後、焼成した膜は、PEGを含まず焼成していないポリイミド膜に比べて、分子サイズの大きなCH4やN2に対するガス透過速度が1桁大きかった。しかし分子サイズの小さなHe、H2、CO2に対する透過速度はあまり変わらなかった。一方、PEG600を導入して得られた焼成膜は、いずれのガスに対するガス透過速度も増加した。増加の割合は2割程度と小さかった。分子量の平方根の逆数に対する透過速度のプロットからKnudsen型ではないことが分かったので、ミクロ孔(<2nm)を有する高分子膜を作製できたと考えられる。透過係数の増加の割合はあまり大きくなく、分離係数も低かったことから比較的大きなミクロ孔が形成されたと推測される。しかし、ガス吸着実験の結果からはミクロ孔の存在は証明できなかった。 製膜に手間のかかる焼成膜の代わりに製膜が容易であるセルロース系高分子膜にPEIを導入してその効果を調べた。CO2/N2分離係数はCO2濃度20%において最大4倍増加することが分かった。
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Research Products
(2 results)