2010 Fiscal Year Annual Research Report
化学構造論とモルフォロジーに立脚した、すすの生成・燃焼反応機構の構築
Project/Area Number |
20560710
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三好 明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (60229903)
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Keywords | すす / 燃焼 / PAH / C2 / C2H / 化学反応過程 |
Research Abstract |
本研究では燃焼中における、低級の芳香族炭化水素が多環芳香族炭化水素(PAH)に成長する化学反応過程と、これと並行して起こる、PAHの酸化反応に関する知見を得ることを目的として、以下を行った。 (1)加熱流通型反応器-キャビティー・リング・ダウン分光法を用いて、C_3H_5(アリル)・C_3H_3(プロパルギル)ラジカルの再結合反応の速度定数を温度範囲295-800K,圧力20-200 Torr(バッファN_2,He)において測定した。 (2)加熱型反応器-レーザ誘起蛍光法、および化学発光法を用いて、C_2ラジカルおよびC_2Hラジカルと水素、メタンとの反応における同位体効果を、温度294-400Kにおいて測定し、その反応機構に関する重要な知見を得た。 (3)加熱流通型反応器-光イオン化質量分析法を用いて、フェニルラジカル(C_6H_5)とアセチレン(C_2H_2)、および後続のフェニルビニルラジカル(C_6H_5C_2H_2)とアセチレンの反応速度定数を443Kにおいて測定した。 (4)理論化学的な手法[量子化学計算・遷移状態理論(TST)計算・RRKM(Rice-Ramsperger-Kassel-Marcus)理論計算]により、PAHの成長過程と酸化過程に関する検討を行った。実験的に測定を行った、C_3H_5+C_3H_5の反応は芳香環生成には至らないと結論されたが、C_3H_3+C_3H_5の反応は、芳香環生成に重要な役割を果たしていることが示唆された。 (5)量子化学計算により、PAH成長過程においては、従来のHACA型反応の代表的な反応である、C_6H_5+C_2H_2,C_6H_5C_2H_2+C_2H_2の反応のエネルギーダイアグラムを計算した。 こららの過程のさらに系統的な研究から、成長・酸化の両面からのPAH生成の抑制の可能性が示唆されると期待される。
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Research Products
(4 results)