2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ,ピコ秒時間分解分光法を用いたマイクロ波による反応促進機構の解明
Project/Area Number |
20560712
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高橋 憲司 Kanazawa University, 自然システム学系, 准教授 (00216714)
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Keywords | マイクロ波 / 非熱的作用 / 時間分解分光 / 分子回転 / 蛍光 / 偏光 / 活性化エネルギー |
Research Abstract |
マイクロ波照射場で,ピコ秒の時間分解能で蛍光寿命を測定できる体系を組上げた。この装置を用いて,蛍光プローブ分子の回転運動に及ぼすマイクロ波照射の影響を検討した。溶媒としてはグリセリン/メタノールの混合溶媒を用いた。マイクロ波照射により溶液の温度が上昇したので,マイクロ波の電場のみによる効果を抽出するために,通常加熱により同様の温度での測定も行なった。プローブ分子としてクマリン153を用いた。混合溶媒系での蛍光強度の減衰は,3つの指数関数の和でフィッティングされた。つまり,プローブ分子の回転モードとして少なくとも2つの運動モードが存在することが示唆された。それぞれの回転運動の時定数の逆数,つまり回転速度(k1よびk2)の温度依存性を検討し,それらの活性化エネルギーを求めた。回転速度の活性化エネルギーは,マイクロ波照射場では小さくなることが分かった。つまり,マイクロ波照射場では,プローブ分子の回転が容易であることがわかった。また,分子の回転運動の流体力学的近似モデルをもとに考えると,回転運動が容易になる理由は,プローブ分子周囲の微視的粘度がバルクの粘度よりも小さいか,微視的温度がバルク温度より高いことが示唆された。
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