2010 Fiscal Year Annual Research Report
超音波を用いた排水中VOCの高速分離・完全無害化システム
Project/Area Number |
20560713
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安田 啓司 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80293645)
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Keywords | 超音波霧化 / 超音波周波数 / 表面張力 / 粘度 / 超音波キャビテーション / パルス波 / 重ね合わせ / 反応速度 |
Research Abstract |
排水中VOCの分離を高速化するには、VOC含有水溶液の霧化量の増大が必要である。モデルVOCとしてエタノールを使用し、超音波周波数を500kHz、あるいは2.4MHzとし、エタノール濃度、印加電力を変えて実験を行った。その結果、500kHzの方が霧化量が多かった。これは液滴の大きさが多きいためと考えられる。さらに、印加電力とともに霧化量は増大した。また、水溶液中のエタノール濃度が増加すると低濃度では霧化量は増加するが、モル分率が0.2あたりで一旦減少し、その後、濃度増加と共に再び増加した。霧化量が増加するのは表面張力が低下し、液滴がちぎれやすくなるためであり、霧化量が一旦減少するのは粘度が増加し、超音波が液面に伝わりにくくなるためと考えられる。 排水中VOCの分解速度を高くするために、パルス型の超音波を重ね合わせた装置の開発を行なった。矩形型の反応器の底面と側面に500kHzの超音波振動子を設置して、シンセサイザーとパワーアンプで振動子を駆動させ、パルス型の超音波を発生させた。モデル物質にはKI水溶液を用いた。パルス波のOn/Off比を1とし、On時間が0.24secのときに反応速度が最大となった。反応速度はパルス型の超音波により48%、超音波場の重ね合わせにより13%、パルス型の超音波の重ね合わせにより61%高くなった。これは、パルス型の超音波により、キャビテーション閾値の影響が減少することと、Off時間でも超音波が装置内で残響しているためと考えた。また、超音波の重ねあわせにより、超音波化学反応領域が拡大することをルミノール発光により観測した。
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