2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規な多次元大細孔ゼオライトの精密構造解析に基づく新規触媒材料の開発
Project/Area Number |
20560719
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
窪田 好浩 Yokohama National University, 工学研究院, 教授 (30283279)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 拓史 独立行政法人産業技術総合研究所, コンパクト化学プロセス研究センター, 研究員 (60371019)
|
Keywords | ゼオライト / 構造規定剤 / ポスト処理 / チタノシリケート / 乾燥ゲル法 / フェノール酸化 / X線結晶構造解析 / 格子欠損 |
Research Abstract |
H20年度までに乾燥ゲル法(DGC)法によりMCM-68類似の新規結晶の前駆体Si-YNU-2Pが合成できることを見出した。Si-YNU-2Pは骨格に欠損があり、焼成すると結晶構造が崩壊してしまう。H21年度はポスト処理によるSi-YNU-2ゼオライトの骨格構造あ安定化を検討した。また骨格にTi導入したTi-YNU-2を調製し、フェノールの酸化への適用を試みた。 DGC法で調製したSi-YNU-2Pをスチーミング処理したサンプルは、焼成して構造規定剤を除去した後も高い結晶性を保つことがわかった。この構造体をSi-YNU-2_<ST>と呼ぶ。Si-YNU-2_<ST>に対してTi導入処理を行うと、酸化反応の活性点となりうるテトラヘドラルTi種として骨格に取り込まれることがわかった。Ti-YNU-2_<ST>でフェノールの酸化反応を行ったところ、既存のチタノシリケートであるTS-1を上回る触媒活性を示した。これは、フェノール分子がTS-1の10員環マイクロ孔(0.55nm)には進入しにくいのに対し、Ti-YNU-2_<ST>の12員環マイクロ孔(0.67nm)には容易に進入し、マイクロ孔内のTiサイトにアクセスできるためと考えられる。同時に、Ti-YNU-2_<ST>は高いパラ選択性を示した。 またSi-YNU-2_<ST>について、その構造安定性と格子内のSi原子欠陥の分布変化との関係をX線結晶構造解析と固体NMRから検証したところ、スチーミング処理によって格子欠損が減少していることが明らかとなった。これはSi原子の格子内の移動と欠損箇所での部分的な縮合反応が起きていることを示唆しており、ゼオライトの振舞いに関する新たな知見であると考えている。現在、この構造変化の機構解明を目指し精力的に研究を継続している。
|