2010 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー代謝改変による中枢代謝活性化に基づくキシリトール発酵の効率化
Project/Area Number |
20560724
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
堀内 淳一 北見工業大学, 工学部, 教授 (30301980)
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Keywords | xylitol / Candida / Biorefinery / oxygen supply / optimization |
Research Abstract |
本研究では、バイオマスなどの再生可能資源を原料として、バイオプロセスにより有用物質・エネルギーを生産するバイオリファイナリー構築の一環として、高付加価値生産物であるキシリトールの微生物生産を対象に、キシリトール生産菌Candida magnoliaeのエネルギー代謝系に着目して、中枢代謝の活性化によるキシリトール生産の効率化を目指した。 まずキシリトール生産菌C.magnoliaeに、FoF_1-ATPアーゼ変異を導入することによりエネルギー代謝を改変し、キシリトールからキシルロースへのフラックスを酸素供給に依存せずに削減することを試みた。しかしながら呼吸代謝系を阻害することにより、菌の生育が大きく阻害されることが明らかとなった。そこで次に中枢代謝を律速する酸素供給速度を制御することによりキシリトール生産を向上させることを試みた。すなわち、キシリトール生合成系と解糖系、TCAサイクル、ペントース・リン酸系、呼吸鎖からなる代謝反応モデルを構築し、酸素供給速度を変化させることによりキシリトール収率がどのように変化するか検討した。 その結果、キシリトール収率は酸素供給速度の影響を大きく受け、酸素供給速度が過剰となると収率が大幅に低下することが明らかとなった。最な酸素供給条件は、ペントース・リン酸系から生成するNADPHが全量、キシロースのキシリトールへの還元に用いられる条件であった。次に5Lジャーファーメンターを用いて、酸素供給速度を変化させ、コーンコブ加水分解液を原料としたキシリトール発酵に及ぼす酸素供給速度の影響を実験的に検討した。すなわち、菌体あたりの酸素供給速度を0.5、0.7、0.8、1.0(mmol-O_2/g-cell・h)の条件となるように、菌体の増殖に対応して通気速度を変化させる回分培養を行った。その結果、菌体あたりの酸素供給条件が0.7(mmol-O_2/g-cell・h)において、キシリトール収率70%、生産性1.7(g-キシリトール/L・h)の最も良い結果が得られた。この結果は、従来のOTR制御による培養に比べ、収率は若干減少するものの生産性は1.7倍に向上した。
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Research Products
(8 results)