2008 Fiscal Year Annual Research Report
好熱菌由来アルドラーゼの探索と糖類関連化合物合成への利用
Project/Area Number |
20560730
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
櫻庭 春彦 Kagawa University, 農学部, 教授 (90205823)
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Keywords | 超好熱菌 / アルドラーゼ / DERA / KDGA / Sulfolobus / 結晶構造解析 / アーキア |
Research Abstract |
アルドラーゼは、様々な抗ウイルス剤や抗がん剤、抗高脂血症剤のビルディングブロックや抗菌剤などの合成への利用が期待されている。しかしながら、これまで検討されてきた常温生物由来の酵素は、その不安定性から実用化は達成されていない。一方、高温環境に好んで成育する好熱菌の酵素は、一般に耐熱性が高いだけでなく、有機溶媒や種々の薬品処理などに対しても高い安定性を示すため、好熱菌に安定なアルドラーゼが存在すれば、その応用開発の進展が期待できる。本研究では、好熱菌の有用なアルドラーゼを探索し、機能・構造解析を行った。抗高脂血症剤の合成に利用できる2-デオキシリボース-5-リン酸アルドラーゼ(DERA)については、ゲノム情報からだけでは探索に限界があるため、高温環境から直接取り出したDNA(eDNA)より新規DERA遺伝子の獲得を行った。eDNAを鋳型とし、DERA遺伝子増幅用縮重プライマーを用いてPCRを行い、断片をクローニングし、塩基配列を解析した結果、超好熱細菌Thermotoga(97%)、超好熱アーキアStaphylothermus(65%)およびThermococcus(56%)と高い同一性を示すことが判明した。一方、Sulfolobus tokodaiiに高度に安定な2-ケト-3-デオキシ-D-グルコン酸アルドラーゼ(KDGA)を見出し、その大量生産系を構築した。KDGAが生産するアラビノースとピルビン酸の縮合産物は2-ケト-3-デオキシ-D-オクトネート(KDO)であり、グラム陰性菌の細胞壁外層構成成分のリポ多糖(LPS)にのみ存在する特殊な糖であるため、KDOアナログはLPSの生合成を阻害し、グラム陰性菌に特異的に作用する抗菌剤として利用できる。本酵素には2種類のアイソザイムが存在するが、このうち一つのX線結晶構造解析に成功した。
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