2010 Fiscal Year Annual Research Report
好熱菌由来アルドラーゼの探索と糖類関連化合物合成への利用
Project/Area Number |
20560730
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
櫻庭 春彦 香川大学, 農学部, 教授 (90205823)
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Keywords | 超好熱菌 / 好熱菌 / アーキア / アルドラーゼ / DERA / キメラ酵素 / PCRスワッピング / eDNA |
Research Abstract |
アルドラーゼは、様々な抗ウイルス剤や抗がん剤、抗高脂血症剤のビルディングブロック合成への利用が期待されている。しかし、常温生物由来の酵素は、その不安定性から応用研究が遅れている。一方、高温環境に成育する好熱菌の酵素は、耐熱性が高いだけでなく、有機溶媒などに対しても高い安定性を示すため、好熱菌のアルドラーゼを用いれば、実用化に向けての研究の進展が期待できる。我々は超好熱菌に高度に安定な2-デオキシリボース-5-リン酸アルドラーゼ(DERA)を見出し、抗高脂血症剤スタチンの前駆体合成では大腸菌DERAより優れた生産性を示すなど、応用面で高い潜在性を持つことを明らかにしてきた。本研究では、高温環境から直接取り出したDNA(eDNA)から好熱菌由来の新規DERA遺伝子の獲得を行った。 eDNAを鋳型とし、DERA遺伝子増幅用縮重プライマーを用いてPCRを行い、断片をクローニングし、塩基配列を解析した結果、好熱菌由来と思われる3種類のDERA遺伝子を獲得できた。取得した遺伝子はDERAの部分配列であるため、すでに構築している超好熱菌DERAの発現ベクターの相当配列とスワップし、キメラDERAの発現ベクターを構築した。作製したベクターで大腸菌を形質転換して得られたキメラ酵素は、すべてDERA活性を示したが、熱安定性は野生型に比べて劣っていた。しかしながら、作成したキメラ酵素のなかで最も高い安定性を示したchimera#40は、野生型の約2倍の高い比活性を持つことが明らかになった。今回、eDNAを利用することにより、野生型DERAより高い活性を持つ酵素の創製に成功した。 一方、Sulfolobus tokodaii由来の2-ケト-3-デオキシ-D-グルコン酸アルドラーゼについては、3.05Åの分解能でX線結晶構造解析に成功し、全体構造を明らかにした。
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