2008 Fiscal Year Annual Research Report
糖含有複合脂質膜を用いるがん細胞膜インターフェイスの制御とがん抑制効果
Project/Area Number |
20560732
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
松本 陽子 Sojo University, 生物生命学部, 教授 (00133562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 浩一 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (30279377)
市原 英明 崇城大学, 生物生命学部, 技術員 (70369114)
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Keywords | リポソーム(複合脂質膜) / がん化学療法 / 糖 / 脂質 / アポトーシス / 細胞膜 |
Research Abstract |
ラクトース骨格を有する界面活性剤(LactC_<10>)を合成し,ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween 20)を構成成分とするハイブリッドリポソーム(HL)にLactC_<10>を組込み、三成分系ハイブリッドリポソーム(THL)を創製した。THLの物性およびヒト肝臓がん細胞(Hep-G2, Huh-7)に対する制がん効果について検討したところ、次のような興味ある知見が得られた。(1)NMR、IR測定、元素分析などから、LactC_<10>が高純度で合成できた。(2)Hep-G2およびHuh-7に対するIC_<50>値はHLに比べて小さく、THLによる増殖抑制効果の向上が明らかになった。(3)THLはHep-G2およびHuh-7に対してアポトーシスを誘導し、正常肝細胞に毒性がないことを確認した。THLは、がん細胞のみに制がん効果を示し、アポトーシスを誘導することから、副作用のない新しい制がん剤としての臨床応用が期待できる。(高分子論文集,65 (1), 90-97 (2008)) また、ラクトース骨格を有する界面活性剤(LactC_<10>)からなる三成分系ハイブリッドリポソーム(THL)の固定水層は、HLの2倍に増大が確認できた。この固定水層はヒト肝臓がん細胞(Hep-G2, Huh-7)に対する制がん効果との相関性が認められた。THLの増殖抑制効果に糖の水和が関与している可能性を初めて明らかにした。したがって、物理化学的特徴(固定水層の厚さphysicochemical characteristics)と生物学的特性(がん細胞増殖抑制効果biological specifics)との関係の重要性を初めて実証した。(Chemistry Letters, 37 (1), 118-119 (2008))
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Research Products
(28 results)