2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖含有複合脂質膜を用いるがん細胞膜インターフェイスの制御とがん抑制効果
Project/Area Number |
20560732
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
松本 陽子 Sojo University, 生物生命学部, 教授 (00133562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 浩一 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (30279377)
市原 英明 崇城大学, 生物生命学部, 技術員 (70369114)
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Keywords | リポソーム(複合脂質膜) / がん化学療法 / 糖 / 脂質 / アポトーシス / 細胞膜 |
Research Abstract |
多価不飽和脂肪酸(PUFA)の制がん効果に注目し、リン脂質(DMPC)と非イオン性ミセル界面活性剤(Tween 80)からなるハイブリッドリポソーム(HL)にPUFAを含有させ、肺腺がん細胞、大腸がん細胞および胃がん細胞に対する増殖抑制効果を検討した。PUFA含有HLは、すべてのがん細胞に対して増殖抑制効果を示したが、n-6系のリノール酸は脂質過酸化反応による細胞傷害でネクローシスを誘導し、n-3系のドコサヘキサエン酸では細胞のプログラム死であるアポトーシスを誘導していることが明らかになった。HLに多価不飽和脂肪酸を含有させることで、がん細胞に対して異なる細胞死(ネクローシスとアポトーシス)を誘導できることをはじめて明らかにした。(Bioorganlc & Medicinal Chemistry Letters,18,1880(2008).) カチオン性脂質を含有する三成分系HLを新たに創製し、ヒト腎臓がん細胞に対するin vitroおよびin vivoでの制がん効果を検討したところ、次のような興味深い知見が得られた。in vitroにおいて、(1)腎臓がん細胞に対する高い増殖抑制効果が明らかになった。(2)正常ヒト腎臓細胞に対しては、低毒性であった。(3)腎臓がん細胞に対してカスペースの活性化およびミトコンドリアを経由してアポトーシスを誘導することが明確になった。in vivoにおいて、(4)腎臓がん同所移植モデルマウスに対する治療実験から、アポトーシス誘導による顕著な治療効果が明らかになった。(5)正常マウスに対する安全性試験および溶血試験において、毒性はなく安全であることが確認できた。以上のことから、カチオン性脂質を含有する三成分系HLの腎臓がん治療薬としての可能性が初めて明らかになった。(Anticancer Research,30,327(2009).)
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Research Products
(20 results)