2010 Fiscal Year Annual Research Report
糖含有複合脂質膜を用いるがん細胞膜インターフェイスの制御とがん抑制効果
Project/Area Number |
20560732
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
松本 陽子 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (00133562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 浩一 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (30279377)
市原 英明 崇城大学, 生物生命学部, 助教 (70369114)
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Keywords | リポソーム(複合脂質膜) / がん化学療法 / 糖 / 脂質 / アポトーシス / 細胞膜 |
Research Abstract |
大腸がんの肝転移マウスモデルに対するハイブリッドリポソーム(HL)の治療効果を肝臓組織切片の組織学的分析により検討したところ、次のような興味深い知見が得られた。(1)大腸がんの肝転移モデルマウスに対してHLを尾静脈投与し、治療後に肝臓を取り出し、肝臓重量、ヘマトキシリン-エオシン染色、マッソントリクローム染色および大腸がんの腫瘍マーカーであるCEAでの免疫染色法により治療効果を検討した。未治療群の肝臓においては、大腸がんの肝転移によるさまざまな異常所見が見られたが、HL治療群では、がん細胞を移植していないノーマルマウスの肝臓とほぼ変わらず、顕著な治療効果が確認された。(2)肝転移モデルマウスに対してHLを尾静脈投与し安全性を検討したところ、毒性は認められず、HLの高い安全性が確認された。大腸がんの肝転移に関して、薬物を含まないHLのみによる副作用のない顕著な治療効果が動物レベルでの組織学的分析により確認されたことは、非常に興味深い。(Int.J.Pharm.,394,174(2010)) HLのコトンラット胃がん(CoRa622 G6)細胞に対する制がんメカニズムおよびin vivoにおける胃がんの腹膜播種モデルマウスに対する治療効果を検討したところ、以下のような興味深い知見が得られた。(1)HLは、1ヵ月以上、直径100ナノメートル以下の安定な膜を形成した。(2)ミトコンドリアの膜電位の減少とカスパーゼ-8、-9と-3の活性化が認められ、HLによるアポトーシスのシグナルがミトコンドリアおよびカスパーゼを経由することが明らかになった。(3)胃がんの腹膜播種モデルマウスに対してHLは、アポトーシス誘導により顕著な延命効果を示す事が明らかになった。本研究の結果は、胃がん患者に対する臨床応用が期待される。(Anticancer Res.,30,2011(2010))
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Research Products
(33 results)