2009 Fiscal Year Annual Research Report
アルミニウムの水中メカノケミカル反応を利用した水素製造法とLCAの検討
Project/Area Number |
20560758
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古山 隆 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 助教 (90284546)
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Keywords | 水素 / アルミニウム / 水中粉砕 / メカノケミカル / 遊星ボールミル |
Research Abstract |
本研究では金属アルミニウムを粉砕した場合の水素発生のメカニズムを明確にする実験を行い、これまでにない新しい水素発生方法を開発することを目的としている。本年度はタワーミル粉砕機を用いてアルミニウムの水中連続粉砕よる実験を行う予定であった。しかしながら、粉砕容器内の気密性を高めることができなかったため、昨年と同様のフリッチュ社製の遊星ボールミルType P-6を用いて粉砕試料のサイズと水素ガス発生量の関係および水中のアルミニウムイオン濃度と水素ガス発生量の関係を調べた。実験ではアルミニウム試料に粉末(53-150μm:純度99.5%)および塊状(2-10mm:純度99.9%)のものを使用した。また、粉砕容器と粉砕ボールにはそれぞれアルミナ製で容器容量500ml、ボールサイズ10mmのものを使用した。粉砕は回転数を200rpm、粉砕ボール100個、試料重量約3g、純水100mlで行った。なお、粉砕容器内は空気で充填し常圧とした。粉末アルミニウムを純水中で粉砕するとほぼ直線的にガス発生量が増加し、4時間粉砕すると1260mlのガスを回収することが分かった。一方、塊状アルミニウムを粉砕した場合、4時間粉砕後のガス発生量は287.5mlしか発生しなかった。これは試料の比表面積の違いによるものであると考えられる。次に、純水中におけるアルミニウムイオン濃度の経時変化を調べた。その結果、両アルミニウム試料を水中粉砕してもアルミニウムイオン濃度は増加せず、アルミニウム試料を入れないで粉砕した場合とほぼ同じのイオン濃度であることが分かった。このことから、水素はアルミニウムが溶解して水酸化アルミニウムを形成する過程で発生するのではなく、アルミニウムが微粉化する際に発生する瞬間的な高温により水が分解されて発生していると考えられる。
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