2009 Fiscal Year Annual Research Report
下水浄水場排水中リンの磁気分離によるゼロエミッション・超高速浄化回収と再資源化
Project/Area Number |
20560759
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
三浦 大介 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 准教授 (50281241)
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Keywords | 下水二次排水 / リン / 磁性リン吸着剤 / ゼロエミッション / 磁気分離 / 磁気速度 / ゼータポテンシャル / 超伝導マグネット |
Research Abstract |
本年度から東京都下水道局と共同研究を結び、実用化に向けて再生可能な磁性リン吸着剤を用いた磁気分離による下水からのリンの除去・回収と再資源化の研究をさらに推進した。 アニオン吸着、脱離特性に優れると期待されたグリーンラスト系層状化合物のリン吸着等温線はラングミュラー型であり、その最大吸着量は4.6mg/gであった。一方、微粉末状のジルコニウムフェライト系(ZrFe)水酸化物のリン吸着等温線も同様にラングミュラー型であり、わずか数分でリンを吸着し、最大吸着量は12.8mg/gと高い値を示した。グリーンラストは通常の合成方法ではマグネタイトに変成してしまうこと、また磁化も7Tで2.4emu/gと低いのでリン吸着剤としてはZrFeが最適であるとの結論を得た。 リンを1ppm含有した下水二次処理水を用い、吸着特性の最適化を検討した結果、ZrFe吸着剤250ppm、吸着時間5分で下水二次処理水中のリン濃度を0.1ppm以下にできることが明らかになった。その吸着機構に関してはゼータポテンシャルのpH依存性の測定から静電引力とイオン交換機構の混合が示唆された。これに基づき吸着剤からのリンの脱離条件としてNaOH溶液濃度1%、1時間で70%以上のリンの脱離が可能であることを見出し、さらに希硫酸による活性化により、繰り返し安定した使用が可能であることが明らかになった。 一方、高勾配磁気分離に関しては理論上の磁気速度(処理速度)は磁場0.5Tで1.26m/sと見積もられたが、これは実験値とのよい一致を示した。また磁性線フィルターの最適化実験によりフィルター充填率が5.0~13.1%の間に最大捕獲量があることが判明した。現在、フィルターの磁界解析と絡めて研究を進めているところである。 これらの成果に基づき、東京都浅川水再生センター(処理量78350m^3/日)におけるシステム導入に向けた概念設計を行った。その結果、磁場1T、超伝導マグネットボア径1.1m、フィルター交換時間8分、吸着剤循環時間3時間等の設計パラメーターを得て、その実現性が十分に示唆された。
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Research Products
(3 results)