2010 Fiscal Year Annual Research Report
下水浄水場排水中リンの磁気分離によるゼロエミッション・超高速浄化回収と再資源化
Project/Area Number |
20560759
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
三浦 大介 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (50281241)
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Keywords | 下水二次排水 / リン / 磁性リン吸着剤 / ゼロエミッション / 磁気分離 / 磁気速度 / ゼータポテンシャル / 超伝導マグネット |
Research Abstract |
本年度も東京都下水道局と共同研究を継続し、実用化に向けて再生可能な磁性リン吸着剤を用いた磁気分離による下水からのリンの除去・回収と再資源化の研究をさらに推進した。 磁性吸着剤として有望である微粉末状のジルコニウムフェライト系(ZrFe)水酸化物のリン吸着・脱離・活性化特性を磁気分離システムフローに沿って詳細に調査した。吸着特性に関しては下水の二次処理水の1ppmリン含有水に対して、200ppmのジルコニウムフェライト吸着剤を10分間の攪拌吸着で90%以上のリン浄化・吸着を達成した。アルカリでの脱離処理においては1%の水酸化ナトリウム中に2000ppmのリンを吸着したジルコニウムフェライトを15分間浸し、70%以上のリン脱離を達成した。さらに2段階のアルカリ処理により86%のリン回収率を得た。 活性化においては1%の硫酸水溶液中に同じく2000ppmのジルコニウムフェライトを15分間浸したもので十分なリンの再吸着特性(浄化率70~80%)を得た。この結果、脱離、活性化の工程に磁気分離を使用しなくても固液分離が可能であるとの結論を得た。(磁気分離は吸着分離過程にのみ使用)また、活性化で酸性になった吸着剤を水洗い無しでそのまま再度吸着工程に使えることが判明した。 高勾配磁気分離に関しては磁場、流速、磁性フィルターの占有率の3つのパラメータを変化させ、その破過特性を調べた。その結果、磁場2T、流速1m/s、占有率8%が最適であるとの結論を得た。スケールアップの特性をみるために40Lタンクでの磁気分離実験を行い、漏れは下水排出SS基準である1mg/Lを十分に下回る結果を得た。また磁性フィルター近傍の磁場解析を行い、近接効果を確認した。さらに吸着剤の摩耗実験を行い、繰り返し使用に耐えうることを確認した。これらの成果に基づき、ジルコニウムフェライトリン吸着剤の磁気分離システム導入に向けた概念設計を行った。
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