2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560767
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲垣 滋 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (60300729)
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Keywords | 相図 / 乱流 / 構造形成 / 磁化プラズマ / バイスペクトル |
Research Abstract |
本研究では、プラズマ乱流の形成する構造を平衡系における"相"と考え、プラズマ乱流はどのような相を持つのかを明らかにすることを目的とした。"相"とは、空間的に均一な領域について定義されている概念であり、"不均一性"が存在する非平衡系では定義できない。しかし、遠非平衡系であるトロイダルプラズマについては、L-mode,H-modeと呼ばれる質的に異なる構造が存在し、プラズマは相転移のようにその二つの状態間を遷移する事が知られている。また、異なる構造間では乱流の状態も質的に異なる(L-modeでは乱流が強く,H-modeでは乱流が抑制されている)ため、乱流の状態という"相"を不均一性を持つ非平衡系へと拡張を試みた。具体的には九州大学直線プラズマ装置にて、外部制御パラメータを通じてプラズマ乱流状態を変化させ、その乱流状態を特徴づけた。外部パラメータを広範囲に変化させた実験(外部制御実験)、及び乱流状態を特徴づける量の探求(乱流解析)、そしてそれらの統合という一連の作業を繰り返し、より説得力のある相図を作成した。 平成22年度は、乱流解析では多チャンネルラングミュアプローブアレイ計測に対して、wavelet解析によるモードの時間発展の観測を進めた。更に一点計測を用いたwaveletバイスペクトル解析を適用した。相図作成では、上記モードのダイナミクスの違いによる特徴付け、更に揺動の確率密度関数による統計的性質の違いによる特徴付けを行った。中性粒子圧を変化させる事で質的に異なる乱流状態が形成される事を見いだし、それぞれの状態で主要モードに関するトータルバイコヒーレンスが大きく異なる事を観測した。また、相図において重要となる遷移現象について新たなダイナミックな現象を発見し、長波長モードとの結合が重要な役割を演じている事を観測した。
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Research Products
(13 results)