2008 Fiscal Year Annual Research Report
空孔をプローブとした金属中の自己格子間原子およびそのクラスターの移動に関する研究
Project/Area Number |
20560771
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩井 岳夫 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (30272529)
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Keywords | 陽電子消滅法 / NRTdpa / はじき出し損傷効率 / カスケード損傷 / 鉄 |
Research Abstract |
照射によって導入される格子欠陥の量は、材料における照射による劣化の度合いを示す重要なパラメータである。導入される格子欠陥量を表すパラメータとしては、Norgett, Robinson, Torrensのいわゆる"NRT"による古典的モデルで計算されるDisplacement Per Atom(NRTdpa,通常は単にdpaと表記する)が一般的に使用されている。しかしながら、分子動力学法(MD)などの計算科学的手法の発達によって、NRTモデルで計算される導入欠陥の量は、その後の照射組織発達に対して有効な欠陥の量とは必ずしも一致しないことがわかってきた。keV以上の高いエネルギーが一次はじき出し原子(Primary Knock-on Atom : PKA)に与えられた場合、局所的なはじき出しの連鎖現象が引き起こされる(カスケード損傷)。高エネルギー領域ではNRTモデルで予測されるフレンケル対の高々2~3割程度の数のフレンケル対しか形成されず、一般的に使用されるdpaと実際の欠陥生成量との食い違いが顕著になってくる。これらの知見はほとんどが分子動力学法のような計算科学的手法によるもので、裏づけとなるような実験データはほとんど存在しないのが現状である。本研究においては、前述のように実際に照射組織を制御する欠陥生成量を見積もるのに必要なはじき出し損傷効率ηついて、低温でのイオン照射と陽電子ビーム測定を通じて実験的に測定・評価を行った。低温でのイオン照射と、その場で実施可能な陽電子ビーム測定によって、照射欠陥生成過程における基礎パラメータであるはじき出し損傷効率を実験的に評価する画期的な手法を開発した。その結果、はじき出し損傷効率は1MeVプロトンで0.3、2.8MeV炭素イオンで0.2と評価された。
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Research Products
(3 results)