2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560785
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中垣 隆雄 Waseda University, 理工学術院, 准教授 (30454127)
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Keywords | エネルギー変換プロセス / 化石燃料有効利用技術 / エネルギー生成・変換 / エネルギー利用 |
Research Abstract |
本研究は,CO2吸収材としてリチウムシリケート利用による石炭ガス化反応の非平衡化ならびに再生プロセスの低温化と,金属のレドックスケミカルループによるガス化剤である純酸素の分離供給をコアとした新たなCO2回収型水素製造法の基礎研究であり,システムの作動原理の実験的確認とエネルギー・物質収支の検討を通じて,概念設計のための基礎データ取得と実現化への技術的課題の抽出を目的とする.平成20年度は,まず,文献調査とCO2吸収,石炭ガス化,吸収材再生,金属酸化などの反応式群の熱力学平衡計算によって,本システムのレドックスループに最適な酸素キャリアをサーベイし,酸素運搬量,耐久性,反応熱の観点で酸化金属としてCu-CuO系およびNi-NiO系の2種類を有力候補とした.TG/DTAを用いて,カーボン粉末とCu0およびNi0を不活性ガス雰囲気で昇温したところ,それぞれ600℃以上および800℃以上の温度で質量の減少が見られ,カーボン粉末のガス化を確認した.一方,CO2吸収材であるリチウムシリケートは,公開されている東芝の特許の実施例から市販の試薬として炭酸リチウム,炭酸カリウムとシリカを購入し,めのう乳鉢で粒径をそろえて混合し,学内設備である電気炉で焼成して内製した.作製したCO2吸収材の性能を確認すべく,TG/DTAでCO2を含む雰囲気下で昇温したところ,650℃付近で理論値に近い30wt%のCO2吸収と800℃以上の温度域でCO2放出・吸収材再生が生じた.さらに,温度を500〜800℃で50℃ごとに,CO2分圧を10, 20, 30, 40, 100%としてTG/DTAでの試験を繰り返し,CO2吸・放出の反応量と速度を定式化するための基礎データの取得を完了した.次年度はCO2吸収材による非平衡効果を加味したガス化実験と金属酸化熱を利用したCO2吸収材の再生実験を実施する予定である.
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