2008 Fiscal Year Annual Research Report
2つのコンデンシンの染色体分布を規定するメカニズム
Project/Area Number |
20570009
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小野 教夫 The Institute of Physical and Chemical Research, 平野染色体ダイナミクス研究室, 専任研究員 (20291172)
|
Keywords | コンデンシン / 染色体凝縮 / 染色体バンド / ヒストン修飾 / 人工染色体 / セントロメア |
Research Abstract |
コンデンシンIとコンデンシンIIは、染色体の凝縮と分離に中心的な役割を果たしているタンパク質複合体である。中期染色体では、2つのコンデンシンは、いずれも姉妹染色分体の軸上に局在するが、その分布パターンは互いに重ならない。そこで本研究では、中期染色体における2つのコンデンシンの分布を規定する要因を明らかにすることで、コンデンシン複合体の染色体構築における機能を理解することを目指している。 細胞遺伝学的な染色体バンド(分染パターン)とコンデンシンの染色体分布の比較を行ったところ、コンデンシンIIの分布はS期後期に複製されるG-band領域に集まる蛍光が見られた。G-bandに対応するヒストン修飾パターンとの比較においても、この傾向は確かめられた。そして、脱アセチル化酵素の阻害剤であるトリコスタチンAで処理した細胞では、コンデンシンIとIIの染色体上での局在が、姉妹染色分体のより中心軸に集まる傾向がみられた。今回の結果からは、染色体バンドとの関連はまだ明確ではないが、ヒストン修飾パターンがコンデンシンの局在に影響を与えている可能性が示唆されたこれは染色体凝縮因子であるコンデンシンとその基質であるクロマチンの相互作用を示唆した点で意義がある。 また人工染色体を用いた解析により、機能的セントロメアを構成するCENP-Aクロマチン領域にはコンデンシンIIが局在している一方、ヘテロクロマチンを構成するヒストンメチル化領域(H3K9me3)にはコンデンシンIが優位に分布していることが示された。人工染色体は、全長にわたってヒトセントロメア配列を含むが、その一部にしかセントロメアは形成されない。したがって、コンデンシンIとIIのセントロメアにおける局在の違いは、DNA配列ではなく、クロマチンの高次構造と密接に関連することが示唆された。
|
Research Products
(4 results)