2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20570014
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鹿野 秀一 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (70154185)
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Keywords | 生態学 / 湖沼 / 安定同位体比 / メタン / ユスリカ / メタン酸化細菌 |
Research Abstract |
浅い湖沼である宮城県伊豆沼において、メタン由来の底生生物食物連鎖への寄与を明らかにするために、メタン濃度、オオユスリカChironomus plumosus幼虫の炭素安定同位体比(δ^<13>C)と脂肪酸組成、メタン酸化細菌群集構造の季節変化を解析した。オオユスリカ幼虫の餌候補であるPOM(浮遊懸濁有機物)および堆積物のδ^<13>Cは,それぞれ-27.8±1.3‰、-27.8±0.1‰であった。一方、オオユスリカ幼虫のδ^<13>Cは、-50.9~-27.5‰と個体間で大きく異なり、特に夏期のユスリカ幼虫のδ^<13>Cは平均で約-40‰のきわめて低い値を示した。また、堆積物中のメタン濃度を測定した結果、深さ5~6cmの層のメタン濃度とユスリカのδ^<13>Cの間に有意な負の相関がみられた。δ^<13>Cが高く、POMや堆積物と同様の値を示す個体はこれらの有機物を同化していると考えられるが、極端に低いδ^<13>Cを示す個体は、夏期にメタン濃度高くなる巣穴周辺に増えるδ^<13>Cの低いメタン酸化細菌を多く摂食しているためと考えられる。また、オオユスリカ幼虫の脂肪酸組成分析から、ユスリカ幼虫には珪藻や緑藻,藍藻起源の脂肪酸に比べ,細菌起源の脂肪酸マーカーが多く含まれており、細菌の餌資源としての重要性が示唆された。細菌起源の脂肪酸マーカーの一種であるi17:0含有率とオオユスリカ幼虫のδ^<13>cの間に有意な負の相関が認められたことから、i17:0は、メタン酸化細菌に由来する脂肪酸であることが示唆された。さらに、メタン酸化細菌の群集構造を変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法によって解析を行った結果、明確な季節的変化見られなかったころから、メタン酸化細菌の種組成が変化するのでなく、現存量が増加することが示唆された。
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Research Products
(1 results)