2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20570019
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山平 寿智 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (20322589)
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Keywords | 性淘汰 / 緯度 / 性的二型 / 種分化 / クライン / 種多様性 / 共通環境実験 / メダカ |
Research Abstract |
多くの分類群において、その種多様性は赤道付近で最も高く、北と南へ緯度が増すにつれて低下するというパターンが見られる。メダカ属魚類(Oryzias)も、その多くは熱帯に分布している。これら熱帯のメダカの特徴は、オスの派手な色彩や装飾的な鰭の形態にある。興味深いことに、日本に分布するメダカ(O.lalipes)種内においても、低緯度の集団ほどオスの二次性徴の発現が遺伝的に顕著で、性的二型の程度が大きいことが知られている。この性的二型の緯度クラインが性淘汰圧の緯度クラインを反映しているならば、雌雄の繁殖行動においても緯度間変異が進化しているかもしれない。緯度の異なる2野生集団(青森市馬屋尻および敦賀市樫曲)から採集されたメダカを実験室内で交配させ、雌雄の繁殖行動を観察したところ、低緯度集団のオスの方がオス間闘争やメスへの求愛行動を頻繁に行うことがわかった。さらに、低緯度のメスはオスをより強く選り好みする傾向にあることもわかった。また、インドネシアに生息する熱帯種(プロファンディコラメダカO.profundicolaおよびマーモラタスメダカO.marmoratus)の繁殖行動についても予備的観察を行ったところ、日本のメダカよりさらに闘争と求愛が活発で、配偶者選考性もより強いことが示唆された。これらの結果は、低緯度の集団/種ほどより強い性淘汰圧にさらされていることを強く示唆する。低緯度における強い性淘汰は種分化を促進し、ゆえに熱帯の高い種多様性の創出に貢献しているかもしれない。
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