2009 Fiscal Year Annual Research Report
情報処理能力の制約が、円網性クモの造網行動と種間関係に及ぼす影響
Project/Area Number |
20570025
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
中田 兼介 Tokyo Keizai University, 現代法学部, 准教授 (80331031)
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Keywords | クモ / 円網 / 捕食者 / 採餌行動 / 情報処理 / 隠れ帯 / 意思決定 |
Research Abstract |
ギンメッキゴミグモに捕食者の翅音をまねた刺激の有無と捕食を伴わない餌遭遇経験の有無の二つの操作を組み合わせた2x2要因の実験を行なった。その結果、餌遭遇経験を与えたクモはそうでないクモに比べて再造網までの期間が有意に短かった。このことは本種が餌遭遇経験を環境の状態を知るためのキューとして利用していることを示している。一方、餌遭遇経験の網の形態に対する効果は検出できなかった。20年度の結果との違いから、本種は餌環境の質に合わせて網形態を変えるためのキューとしては、捕食経験のみを利用していることが示唆された。 また、本種の野外での採餌行動を2640分ビデオ観察したところ、餌が網に衝突する頻度が一時間あたり2.50回、そのうち捕食に成功する割合は54.5%であった。これは20年度に得られたゴミグモの結果と比べて餌衝突頻度、捕食成功率とも高いものであった。また捕食者との遭遇は1回観察され、これによりクモは捕食された。また、クモを中心とした三者系の動態モデルの作成の初期段階として餌とクモの二者系の動態モデルを作成し、上記データはモデルのパラメーター決定に利用した。 ゴミグモの「注意を向ける」行動について、張力調整がクモの餌への応答性に影響しているかについて、張力を人為的に操作して餌刺激に対する反応速度を測定する実験を行なった。その結果、張力を増した網上ではクモは餌に対してより速く反応することが示された。このことはクモの網引っ張り行動が注意の制御と関わっていることを指示する証拠である。一方、この実験を行なったために、当初予定していた20年度の実験の再試行は翌年度に延期した。
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Research Products
(5 results)